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阪神の佐藤輝明が延長10回に決勝二塁打で優勝マジック再点灯
阪神の佐藤輝明が延長10回に決勝二塁打で優勝マジック再点灯

「このまま最後まで突っ走る」阪神にマジック「36」再点灯させた“ミスをカバーする力”と対照的だったヤクルトの“ミスに引っ張られる弱さ”

 先制点はヤクルトの守備の乱れからだった。先発の高梨は二死一塁から佐藤のタイミングを完全に外して三塁へのボテボテのゴロに打ち取ったが、処理した村上の一塁への送球がハーフバウンドとなった。オスナもプロなら捕球すべき送球だったが、これを後ろにそらして二死一、三塁としてしまうと、続く大山への5球目のフォークがワンバウンドとなり、古賀もこれをブロッキングで止めることができず、森下が生還した。村上、高梨の“ダブルミス”で先取点を献上した。
 さらにヤクルトには攻撃でも記録に残らないミスがあった。1点を追う3回。右膝の重症から約3か月ぶりに戦列復帰し、「8番・ショート」でスタメン出場した長岡が、レフト線を破る二塁打で出塁。高梨のバントで一死三塁の同点機を作った。阪神の内野は、バックホーム体制を敷いていたが、岩田の大きくバウンドが弾むセカンドゴロで、長岡が本塁を突かなかったのだ。
 おそらくヤクルトの指示は「ゴロゴー」ではなく「抜けてから」。それでも岩田の打球と、中野が下がって捕球せねばならなかった状況を判断して、ホーム突入を選択すべきだった。ライナー性の打球に注意せねばならない状況でもあったが、長岡は、走者の基本動作であるシャッフルさえしていなかった。ブランクで走塁判断が鈍っていたのかもしれないが、続く赤羽もショートフライに倒れ、ヤクルトは同点機を逃した。
 一方の阪神にはミスをカバーする力があった。守備でもピンチを回避していた。3回は、無死二塁から高梨のバントを伊藤が三塁へ送球。完全にセーフのタイミングだったため、佐藤が走者に目もくれずすぐさま一塁へ転送して打者走者はアウトにした。9回には一死一、二塁で岩崎が代打の宮本にレフトへ同点タイムリーを許した。レフトの熊谷は打球をファンブル。それ見て一塁走者の長岡は一気に三塁を狙ったが、熊谷が落ち着いたワンバウンド送球で三塁でアウトにしたのだ。もし一死一、三塁にされていれば、サヨナラ負けの結末が待っていたのかもしれない。
 また攻撃でも6回一死一塁で小幡はバントに失敗したが、続く坂本の打席で盗塁を決めて、自らのミスをカバーした。直後に坂本がしぶとくセンター前へ落として貴重な追加点。スポーツ各紙の報道によると、藤川監督は「チームにまたひとつ底力がついた」と、この日のゲームを振り返ったそうだ。ミスをカバーする力を「底力」に置き換えたのだろう。
 神宮、バンテリンと続く夏のロード第1弾の初戦を劇的に勝ち取った。
 佐藤がインタビューで陽気に言う。
「このまま最後まで突っ走りたいと思いますので応援よろしくお願いします」
 今日2日の先発は、後半戦の開幕投手に指名したエース才木。今季対ヤクルトに1勝1敗で防御率は0.60。机上論では1点を取れば勝てる計算だ。

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