
横浜DeNAのビシエドは中日時代の“致命的欠陥”を解消したのか…鮮烈の二塁打2本で“G倒”2位浮上に貢献して健在をアピール
今季プレーしていたメキシカンリーグでは打率3割をキープし長打率は.462まで回復していた。入団会見でビシエドは、「メキシコではスイングも良かった。衰えはまったく感じない。バンテリンドームはすごく広くて外野まで遠いと感じたが横浜スタジアムはバッターにとってすごく有利な球場だ」と、胸を張っていた。
その自信が口だけでなかったことを巨人戦で証明した。
ビシエドは横浜DeNAがクライマックスシリーズ出場権を確保するための貴重な戦力となれるのか。本当に致命的欠陥を解消しているのか。
中日時代のビシエドを知る元スコアラーに話を聞いた。
「チラっと中継映像を見ただけなので評価は難しい」とした上でこう分析した。
「最初の二塁打はグリフィンの失投。巨人のバッテリーは、もっと内角を突きたかったのでしょう。ビシエドは失投は打つんです。ただ右腕のケラーとの対戦では数センチですが、バッターボックスでベースから離れて立っていました。彼なりに内角への対応を意識していたのでしょうね。それを感じた岸田は外のカーブで勝負にきました。あれを広角に打てるのが、ビシエドの持ち味。上体をピタっと止めてからコンタクトできていました。ただ基本的には打撃フォームも含めて中日時代と変わった印象はありません。第3打席はシュートで内角を攻められ詰まらされていましたからね。今後も内角ストレートには苦労するでしょう。ただコントールミスをすれば、長打にできる力が未だにあることは証明したんじゃないですか。それはデータとして残るんで大きいですよ」
5回の第3打席では船迫のシュートに詰まられてのショートゴロ。打球が強烈で泉口のエラーは誘ったが、これはビシエドが中日時代に打ち取られていたパターン。
代打での横浜DeNAデビュー戦となった7月29日のヤクルト戦でも、荘司に内角をストレートで攻められピッチャーフライに終わっていた。
中日時代の致命的欠陥を解消したわけではない。だが、「ひとつ間違えば」の怖さは健在。ビシエドを生かすも殺すもベンチの起用法次第なのだろう。
三浦監督も、「よかったですね。ファームでも打っていなかったんですが、持っているものは素晴らしいものがある1本出て変わってくれればと思います」と、ビシエドが抱えている課題を理解しつつ、ビシエドが持つポテンシャルへの期待を口にした。チームは牧不在のピンチを乗り越えて3連勝。巨人と入れ替わりで2位に浮上した。ビシエドがチームを代表してこう言う。
「チーム全体がすごく良い雰囲気で戦えているので、この調子を引き続き、続けていって、もっといい上の順位を目指していけるように頑張りたいと思います」
マジック「35」の首位阪神とは12.5ゲーム差。これをひっくり返すのはほぼ不可能だろうが、巨人、中日、広島と、4チームの混戦となっているCS争いから抜け出すためにビシエドは貴重な存在になるのかもしれない。