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山下美夢有が全英女子オープンを制した。史上6人目の偉業だ(写真:PA Images/アフロ)
山下美夢有が全英女子オープンを制した。史上6人目の偉業だ(写真:PA Images/アフロ)

全英女子を制した1m50の“小さな巨人”山下美夢有の何がどう凄いのか…井上尚弥、天心、朝倉未来が大好きな“格闘オタク”の一面も…強靭なメンタルの理由はそこ?

 女子ゴルフの全英女子オープンでメジャー初制覇を成し遂げた山下美夢有(24、花王)の衝撃がやまない。1m50の“小さな巨人”はなぜ米ツアー挑戦1年目に偉業を成し遂げたのか。プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(32、大橋)、那須川天心(26、帝拳)、総合格闘家の朝倉未来(33、JTT)らが大好きな”格闘オタク”。その姿から闘争心を学んだという意外な一面もある。

 独学で学んだ父とのタッグで飛距離より正確なショットを追求

 “小さな巨人”が米ツアー挑戦1年目にして、自身初、日本人女子ゴルファーとしては史上6人目となる快挙を成し遂げた。山下は2日目にトップに立つと最終ラウンドでも、地元英国の人気選手のチャーリー・ハルに一打差まで迫られるものの冷静さを失わず、逆にハルが16、17連続ボギーで崩れ、最終18番でもパーをセーブして短いウイングパットを決めると両手をつきあげて涙を流した。
「本当に歴史ある大会でここに立つことができてとても嬉しい。ここまで凄く長かったですけどたくさんの方に支えていただきました」
 2022年、2023年の年間女王。2022年から3年連続平均ストローク60台を達成している。昨年は8勝をあげた竹田麗央(22、ヤマエ)に及ばず2位に終わったが、日本を代表するトップゴルファーがついにくるべき日を迎えた。
 山下の何がどう凄いのか。
 身長1m50は、JLPGAに登録しているゴルファーの中では最も小さい。フジ系のスポーツバラエティ番組「ジャンクSPORTS」では、同じく身長1m50の西村優菜(25、スターツ)と、どちらが小さいかを話題にされたほど。当然、飛距離は出ない。JLPGAの公式サイトに掲載されている2024年のティーショットの平均飛距離のトップは、竹田麗央の263.19ヤードで、山下は236.36 ヤードの54位。約30ヤードも劣る。
 だが、そのハンデを山下は、究極ともいえるショットの正確性でカバーする。
 2024年度のフェアウェイキープ率78.0952%はランキング2位。ちなみにわずかの差で1位は、吉本ここね(25、不二サッシ)で78.1319%。
 山下の口グセが「スイングのリズム」と「技術」である。
 左肩を入れてトップを作り、そこから振り下ろしてのフォロースルー。いわゆる「チャー・シュー・メン」をどんな状況でも狂いなく守る。
 「スイングの再現性をいかにつきつめるかなんです」
 その技術指導をしてきたのが、父の勝臣さんだ。元プロゴルファーではない。接待ゴルフで、100を切ったり、切らなかったりの一般ゴルファーだったが、独学で研究を重ねて、レッスンプロ顔負けの知識を積み上げて、長女のスイングを作り上げてきた。今回の全英女子オープンにも同行。決勝前夜は深夜までスイングチェックを欠かさなかった。
 優勝インタビューで山下は「家族への感謝の思い」を伝えた。
 両親と、1歳下のプロゴルファーの弟、勝将さん、6歳下でキャディーを任したこともある奈良育英高ゴルフ部に所属している妹、蘭さんが山下を支えてきた。
 実は海外は苦手だった。元来、胃腸も強くない山下は、米国の食事が合わず、時差にも対応できず、体重が落ちるほどでベストなコンディションを維持することができていなかった。日本食を作るなどして支えてくれたのが今回も同行してくれた母の有貴さんだ。

 

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