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山下美夢有が全英女子オープンを制した。史上6人目の偉業だ(写真:PA Images/アフロ)
山下美夢有が全英女子オープンを制した。史上6人目の偉業だ(写真:PA Images/アフロ)

全英女子を制した1m50の“小さな巨人”山下美夢有の何がどう凄いのか…井上尚弥、天心、朝倉未来が大好きな“格闘オタク”の一面も…強靭なメンタルの理由はそこ?

 通常、飛距離を求めてフィジカルトレーニングを重ね、パワーアップさせそこにノビシロを求めるものだが、山下はいわゆる器具を使ったウエートトレーニングは一切しない。これも父が導き出した哲学。パワーを求めて肉体のバランスを崩して武器である正確なショットがぶれるのであればとことん長所を追求すべきだとの考え。ただその正確なスイングを何日間も続ける体力とベースとなるフィジカルは必要。父は体幹とインナーマッスルを徹底して鍛えるべきだとの結論を導き、ネットで検索して同じ考え方を持つトレーナーを見つけてきた。それが中村吉朝氏( 中村鍼灸接骨院・院長)で、たまたま大相撲の御嶽海の専属トレーナーでもあった。
 中村氏の指導も徹底した自重トレ。当初は「飛距離を伸ばしたい」と山下は口にしていたそうだが、今ではその飛距離の誘惑は捨て去ったという、3年以上続け、体幹がしっかりしはじめたことと、成績の上昇は無関係ではない。
 そして山下の武器がメンタルだ。
 現地での優勝会見で「緊張はしていたけど、自分のプレーに自信を持ってできたし、それがプレーにつながった」と振り返った。
 米ツアーの出場権は、12月に米ツアー最終予選会に初挑戦し、通算27アンダーでトップ通過して、つかみとったものだが、米ツアーに挑む覚悟を固めるきっかけとなったのが、昨年4月に参加したシェブロン選手権での経験だったという。
「凄く難しいコースが面白かったんです」
 憧れの海外ゴルファーがいたわけではない。球技者をあざ笑うかのような難解なコース設定に、ひとつのミスも許されない厳しさが、山下には魅力だった。
 飽くなき向上心だ。
 奇しくも全英女子オープンの優勝スピーチで「難しいコースセッティングで、風が強い中でのラウンド」という話をした。ロイヤルポースコールGCのコースをいかに攻略するかが、山下には楽しくて仕方がなかったのかもしれない。
 格闘技が大好きという意外な一面もある。
 父親がWOWOWで海外のファイトまで見てきた大のボクシングオタク。その影響を受けたのか、井上尚弥や、那須川天心、そしてボクシングだけに限らず総合格闘家でRIZINで活躍する朝倉未来が大好きな格闘オタク。井上の試合は常にチェックし、朝倉の入場テーマ曲を移動の車内で聴くほどだった。その姿に山下が感じとるものはあるのだろう。2階級4団体統一の偉業を達成しても貪欲に向上心を失わない井上尚弥の姿に、山下は重なるし、ゴルフとはまったく畑違いの戦いに、山下のどんな展開でも冷静さを失わない強靭な闘争心も結びつく。
 山下は今日5日に帰国、8日に札幌国際CCで開幕する「北海道meijiカップ」に出場する。どんな凱旋試合を見せてくれるのか、注目が集まる。

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