
「原因を究明して打てる手はすべて打ちたい」ボクシング界は相次ぐ“リング事故”にどう向き合うべきか…2人が救急搬送されて開頭手術…EXILEのATSUSHIから激励メッセージ届く
また10回に神足は、バッティングによる負傷を眉間に負い、2度のドクターチェックが入ったが、「あそこで試合をストップしなかった理由が僕には理解できません。勝敗なんてどうでもいいんです。安全面をもっと重点化して欲しいからです」と不満を漏らした。
ドクターがチャックした際の傷の深さや、11回以降、流血が止まっていたことを考えると10回でのストップは難しかったのかもしれないが、これも改めて検証すべき点だろう。
神足は計2度の手術を受けた。
兄はこう経過を報告している。
「昨日が一番危ない状態でした。今朝、腫れと出血が多い状況で手術をしてもらいました。できる限りの手術は成功したそうです。ただ、脳梗塞を引き起こしているとのことでした。一命は取り留めていますが、意識が戻るかどうかは5分みたいです。言語障害、認知障害のケースも極めて高いとのことです」
「病状的には搬送時に命が危なかった状態から命が助かったのが幸いだったそうです。 よくはなっているのか?という表現よりは 悪くはなっていないという状態みたいです。 引き続き医療従事者の方のお力を借りてシゲの命を繋いでもらいたいと思います」
神足、浦川の両選手は共に経過観察中だが、開頭手術後のカギは、脳の腫れがいつどんな状況で引くかで1週間をメドに回復の見通しが立つとされている。
リング上の事故が相次いでいる。2023年12月の「バンタム級モンスタートーナメント決勝」で、現WBA世界バンタム級休養王者で、当時、日本同級王者の堤聖也(角海老宝石)と4度のダウンを喫するフルラウンドの激闘を戦った穴口一輝氏も、試合後に救急搬送されて開頭手術を受け、懸命の医療措置が続けられたが、年が明けた2月2日に亡くなった。今年5月にはIBF世界ミニマム級タイトルマッチで、挑戦者の重岡銀次郎が、フルラウンドを戦い、判定結果を聞いた後にリング上で気分が悪くなり、担架で運ばれ、救急搬送され、緊急開頭手術を受けた。ICUから一般病棟に移り、故郷熊本の病院への転院が検討されるまでに回復はしたが、未だ意識は戻らない。
なぜリング上の事故がこうも頻発しているのか。
JBCでは緊急対策を練った。まずは原因究明。減量を含む、コンディションや、試合前の状況などを関係者からヒヤリングし、同時にドクターと共に2試合の映像を徹底的に「パンチの一発一発を細かく検証したい」という。
「2人がどんな減量方法をしていたか、まだヒヤリングはできていませんが、水抜きの問題に、向き合う必要があると思います。現在協会が日本タイトルに限り、30日前(規定体重の12%増以内)、2週間前(7%増以内)の事前計量を取り入れていますが、罰則規定はないんです。これに罰則規定を加え、他の試合にまで広げるか。あるいは、もう水抜きは禁止にするのか、思い切った策が必要になります」
総合格闘技の「ONE」では、極端な水抜きの減量に歯止めをかけるため、体内の水分量をチェックするハイドレーションテストを実施している。尿の比重によってチェックするものでJBCはその検査手法や実態、効果などを調査したいという。