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広陵の堀正和校長が大会途中の辞退を発表して謝罪した(写真・スポーツ報知/アフロ)
広陵の堀正和校長が大会途中の辞退を発表して謝罪した(写真・スポーツ報知/アフロ)

「何が本当なんだ?SNSに振り回される馬鹿げた社会になった」広陵の異例の大会途中辞退に“反対論”を掲げていた93歳の日本球界大御所が怒りと嘆き…「高野連も戸惑っているんじゃないか」

 第107回全国高校野球選手権大会に出場していた広陵(広島)が10日、大会の途中辞退を発表した。同校が9日に理事会を開き辞退を決定。大会本部に報告、了承を得た上で堀正和校長が会見を開き発表した。1月に発生した暴力事案で、3月に日本高野連から厳重注意処分を受けていたが、SNSでの実名告発で、第三者委員会が調査中の別の事案があったことが発覚してSNS上での騒ぎが広がり、大会運営に支障をきたし、誹謗中傷や爆破予告までされるに至ったことで「生徒、保護者を守る義務がある」との理由で出場辞退を決めた。「広陵は辞退する必要がない」と主張していた広島県立呉三津田高校出身でプロとして巨人で活躍、ヤクルト、西武で監督を務めた93歳の大御所の広岡達朗氏に今回の顛末に対して意見を聞いた。

 監督、コーチへのSNS批判、大会運営への支障、生徒を守る責任から

 もうこれ以上“逆風”に耐えきれなかったのだろう。広陵が9日に理事会を開き、途中辞退を決定した。広陵は7日の1回戦で旭川志峯(北北海道)に3-1で勝利したが、14日に予定されていた津田学園(三重)との2回戦には出場せず、津田学園の不戦勝となった。
 各社の報道によると、堀校長が説明した辞退理由は3点。ひとつは3月に日本高野連から厳重注意処分を受けていた「暴力を伴う不適切な行為」だけでなく、7日にSNSの実名告発で第三者委員会が調査中の別の事案が発生していたが明らかとなり、「監督やコーチから暴力や暴言を受けたとする複数の情報が」SNSで拡散され、誹謗中傷を招く事態になったこと。
 堀校長は、現在6月に設置された第三者委員会に調査が委ねられている中井哲之監督、コーチらの暴力を「事実は確認されていない」と否定したが、SNSでの実名告発では、5人の指導者の実名をあげて「先生が生徒に対して暴力をしているところも見た」と投稿されている。
 もうひとつは、これらの騒動が大会運営に支障をきたしていることで「高校野球の名誉、信頼を大きくなくすことなる」との危惧。
 さらに爆破予告がされるなど、学校の生徒にまで影響が及ぶ状況となり「生徒、保護者、そして地域の方、全校生徒、全教職員を守る責務がある」との観点から、これ以上出場を続けることはできないと判断した。107回を数える夏の甲子園で途中辞退は初めての不祥事だ。
 その一報をテレビで知った広岡氏は、怒り嘆いた。
「馬鹿げた社会になったもんだ。先の参議院選もそうだ。SNSに振り回され、何が本当なのか、悪かったのは誰か、そんなことが見えなくなっている。これはスポーツだけの問題じゃない」
 広岡氏は、辞退の背景にあるSNSによる「キャンセルカルチャー」に警鐘を鳴らした。
 これまで広岡氏は「広陵は辞退などする必要はない」と主張していた。
「すでに学校側も調査して高野連からは厳重注意という処分が下されている。SNSの時代にその時点で公表しておかないから、こんなことになるのだが、これは終わった話で、大会が始まってから、いまさらぶりかえして、とやかく言うのはおかしな話。学校の調査が正しかったのか、厳重処分でよかったのか、辞退すべきではないかという議論は、県大会が始まる前にすべきこと。一生懸命にやって甲子園への切符を勝ち取り、憧れの舞台でプレーしている子供たちにいまさら辞退しろはかわいそうだ」
 そう持論を展開していた。

 

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