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WBOアジアパシフィックスーパーフライ級王座に挑んだ白石聖が脱水症状で救急搬送(写真・山口裕朗)
WBOアジアパシフィックスーパーフライ級王座に挑んだ白石聖が脱水症状で救急搬送(写真・山口裕朗)

井岡一翔も後輩を心配…リング事故を受けて厳戒体制の後楽園で12回戦から10回戦に短縮されたWBO地域王座戦で敗れた白石聖が脱水症で救急搬送されて緊急入院…大事には至らなかったが…

  

負傷ドローに終わった宝珠山(右)が号泣した(写真・山口裕朗)

第4試合のスーパーフライ級8回戦は、1ラウンドに偶然のバッティングにより、宝珠山が右眉のあたりを切って流血したため、ドクターがストップをかけて負傷ドローとなった。すでにレフェリー、ジャッジ、ドクターらには、「危険だと感じた場合の早めのストップ」が周知されているが、ストップは早く感じた。
 三迫ジムの加藤健太トレーナーによると「傷口がかなり深かった」そうだが、止血はできた箇所。これも、JBCが厳しい完全管理を徹底している影響だろう。負傷引き分けとなったが、宝珠山は涙が止まらなかった。
「神足に申し訳ない。こんな結果になってしまって…」
 亡くなった神足さんは日大ボクシングの同期であり親友。試合直前だったが、トレーナー陣に「あっておかなきゃ後悔するぞ」と背中を押されて、お見舞いにいき最後のお別れはした。
 天国の友へ勝利を捧げることはできなかったが、その1ラウンドは宝珠山が森青葉(角海老宝石)を支配していた。
 「天国で神足君は見てくれていたと思うぞ」
 加藤トレーナーにそう肩を叩かれると、宝珠山はまた言葉を失い号泣した。
 セミファイナルの日本フライ級タイトルマッチは、挑戦者の野上翔(RK蒲田)がプロ6戦目で、王者の永田丈晶(協栄)に2-0判定で勝利して新王者となった。アウトボクシングとインファイトの対決。終盤、距離を取って戦ってきた野上が中に入ってきた永田の放つ左フックや左アッパーを浴びる危険なシーンもあった。試合が終わると、JBCの安河内剛本部事務局長が、RK蒲田の柳光和博会長に駆け寄り、「すぐに医務室でチェックを受けるように」と直接伝える光景があった。柳光会長はすぐにドクターチェックを受けさせていた。
 まさに厳戒体制で後楽園での興行が再スタートを切ったのである。
 また浦川さんが亡くなった帝拳プロモーションでは、9月6日に後楽園ホールで予定されていた「DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.36」の興行を延期する方針を固めた。同興行では日本スーパーウエルター級王者の豊嶋亮太(帝拳)がそのタイトル防衛戦とWBOアジアパシフィック同級王座決定戦に臨み、元WBO世界ライトフライ級王者の岩田翔吉(帝拳)の復帰戦、日本ユースライトフライ級タイトルマッチなどが予定されていた。
 リング事故の教訓を生かして前へ進むしかない。

(文責・本郷陽一、RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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