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レフェリーが試合をストップした瞬間、重岡はコーナーに座りこみ、悔し泣きした(©︎3150FIGHT)
レフェリーが試合をストップした瞬間、重岡はコーナーに座りこみ、悔し泣きした(©︎3150FIGHT)

なぜ亀田興毅氏プロデュースの世界戦が罵声飛び交う“Wの悲劇”に終わったのか…”無敗の男”重岡銀次朗が疑惑の無判定試合に号泣

プロボクシングのミニマム級ダブル世界戦が6日、エディオンアリーナ大阪で行われ、無敗のIBF同級5位の重岡銀次朗(23、ワタナベ)が挑んだIBFの世界戦は、王者のダニエル・バラダレス(28、メキシコ)が、3回に起きた偶然のバッティングのダメージをアピール。レフェリーがこれを認めて試合続行不能と判断して無判定試合となった。重岡が有利な展開だっただけに場内は騒然。重岡陣営は「バラダレスの棄権負けではないか」と抗議。IBFの立会人のベンジャミン・ケイルティー氏(豪州)はダイレクトリマッチを勧告することを約束し、大会をプロデュースした亀田興毅氏(36)は、可能であれば4月16日に代々木第二体育館で開催する次回の「3150FIGHT」に再戦舞台を用意する考えを示した。またWBO世界同級王者、谷口将隆(28、ワタナベ)は同級2位のメルビン・ジェルサエム(28、フィリピン)に2回TKO負けを喫して王座転落。二重のショックとなった。

陣営は「王者の棄権ではないか」と抗議

 まさかの悲劇、いや悪夢だ。
 3回、頭を下げて突っ込んできた王者の頭が、重岡の左アゴのあたりを直撃した。正面衝突のような形になり、レフェリーは両者を分けたが、バラダレスは、顔をしかめ頭付近をグローブで押さえて何やらアピール。ニュートラルコーナーでドクターチェックを受けることになったのだ。
「アピールをしていたんで嫌な予感がした。左アゴに当たったオレが痛くないんだから、相手も痛くないはず。おかしい。それで5分休憩とかいらんやろ」
 重岡は両手を横に広げて「何やってんだ?」とジェスチャーで不満を表現した。
 メキシコ人王者は。目をしばつかせたが、出血もなく、目立つたんこぶができているわけでもない。それでもダメージを訴え続けたため、本部席側から5分間の休憩が指示された。
「耳が聞こえず、足もふらつく」
 バラダレスは5分間の休憩は取らずに、泣き顔を浮かべて、そう訴え続けた。もはや完全に戦意を喪失していた。
 とりわけ外傷もなかったためドクターはストップをかけなかったが、スペイン語がわかるというレフェリーのクリス・フローレス氏(米国)は、その訴えを聞き入れて、試合続行不可能と判断。両手を大きく交差して、試合終了を宣告し、場内にゴングが打ち鳴らされた。
 リングアナが「試合序盤(4回終了まで)ですので、この試合は負傷引き分けドロー」と、説明すると場内は騒然。
「ユーアーノットチャンピオン(おまえは王者じゃない)」「ユーアーアクター(おまえは役者だ)」「なんやねん、それ!」と罵声が飛び交い、重岡はコーナーで下を向き号泣した。
「不完全燃焼でやり足りていない。レフェリーの裁定の出た瞬間?うそやろ?って感じ。予想外で悔しかった。この悔しさをどこにぶつければいいかもわからない。もやもやしている。まさかの終わり方。よくわかんないっす」
 リングアナが、再度「IBFルールにより負傷引き分けではなくノーテジション(無判定試合)となります」と、結果を訂正すると、さらに混乱した。 
 JBCのローカルルールでは負傷ドローになるが、IBFルールによると、このケースは無効試合でもなく無判定試合なのだという。
 王者が防衛。ベルトは動かない。
 本部席では納得のいかないワタナベジムの渡辺均会長が詰め寄り「王者の棄権ではないか」と抗議した。バッティング以外のダメージがあったのではないか?の主張だ。亀田氏も駆けつけたが、「偶然ではなく故意バッティングではないか」との抗議の声もあったという。
 今回の試合は、映像によるインスタントリプレーを採用しないことが事前のルールミーティングで決定していたため、リング上でレフェリーが下した裁定が最終決定となり「裁定が覆ることがなかった」(渡辺会長)という。 
 ただJBC関係者によるとスーパーバイザーのケイルティー氏は、ダイレクトリマッチを王者陣営に勧告することを約束したという。
 重岡は、2ラウンドからペースをつかんでいた。
「正直言うと、ラウンドが重なるほど、余裕が出て、スピード、反応は自分が上だとわかった。右ストレートは見えにくく、独特の角度でもらったが、効いていないし怖さはなかった。2ラウンド、3ラウンドで、左ボディがよかった。セコンドからも“効いている”と言ってもらったし嫌がっているのはわかっていた。もう(倒すのは)時間の問題だと思っていた」

 

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