
山梨学院の1m94、100Kgの“規格外2年生”菰田陽生は本当に「ネクスト大谷翔平」なのか…元ヤクルト編成部長は「成長度が凄い。打者の方は時間がかかるが二刀流の可能性は十分」
第107回全国高校野球選手権大会の3回戦4試合が16日、甲子園で行われ、山梨学院が岡山学芸館に14-0で圧勝して初のベスト8進出を決めた。注目は先発で6回途中までを1安打無失点で最速150キロをマーク。打っては4打数3安打3打点の活躍を見せた2年生の菰田陽生だ。1m94、100キロの規格外の体格を誇り本人は二刀流を目指している「ネクスト大谷翔平」。ドラフトは来年だが、元ヤクルトの編成部長で、故・野村克也氏のもとでコーチを務め、参謀として知られた松井優典氏に率直な評価を聞いた。
150㌔で空振り三振…センバツでは152㌔
その菰田の巨体に岡山学芸館打線は圧倒されていた。
圧巻は3回。先頭の森下絢心を追い込んでから3球ファウルに粘られると、意地でストレートを続け最後はアウトコースでスイングアウト。スピード表示は、この日の最速となる150キロを示した。
「球速にこだわっていたら、コントロールがダメになる。相手を打ち取る、と全力で投げたところがそういうところ」
冷静にアウトをひとつ取ることを心掛けていた結果だという。1試合だけ登板した今春のセンバツの西日本短大付戦では自己最速の152キロをマークしている。
6回に二死をとり打順が1番に戻ったところで58球で左腕の檜垣瑠輝斗に交代した。6回まで大量8点を奪ったこともあり、次を見据えた継投だったのだろう。
打たれたヒットは2回の先頭で左打者の繁光広翔に許した一塁手の左を抜けていった1本だけ。上手い一塁手ならアウトにできていたようなヒットだった。聖光学院戦の6回1/3で2安打1失点に続く好投だった。
しかも投げるだけではなかった。7番打者として2回にレフト前へ今大会初ヒットを放つと、4回一死二、三塁からセンターへ犠牲フライを決めて大会初打点。そして甲子園をどよめかせたのが5回である。猛攻で4点を奪い、さらに二死二塁から初球のストレートを捉えた打球が左中間を真っ二つに割ると、なんと三塁まで激走して三塁打にしたのだ。
毎日新聞など各社の報道によると、山梨学院の吉田洸二監督は「甲子園が壊れるんかなっていう勢いでサードに走ってましたね。“ホッキョクグマ、激走”という見出しが頭の中に浮かびました」と冗談を交えてこう表現した。
菰田は降板後、一塁手として出場を継続して8回にもう1本レフト前ヒットを放っている。
「ネクスト大谷翔平」の声に恥じない二刀流として存在感を示した。
試合後、菰田は、取材エリアのお立ち台の上で二刀流について質問され「そういうところを目標に頑張っている。少しでもそこに近づけるように頑張っています」と、目標としていることを明かしている。
ドラフトは来年。プロの目はこの怪物2年生をどう見たのか。
元ヤクルト編成部長で、阪神ではスカウトも務めた松井氏が評価するのは投手としてのその成長度だ。
「センバツから夏の1試合目、2試合目の3回戦と見る度によくなっている。1回戦では押すようなイメージでのリリースだったが、この試合では、指先にボールがかかり、叩く、切るといった球離れができるようになっていた。球離れはセンス。そういう感覚があるので、ストレートに130キロ台から150キロまでスピード差をつけて投げ分けをすることができている」