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大橋ジムが誇る20歳の超ホープ、坂井優太が5試合連続KO勝利(写真・山口裕朗)
大橋ジムが誇る20歳の超ホープ、坂井優太が5試合連続KO勝利(写真・山口裕朗)

え?5連続KO勝ちでも「不合格」って?次戦12月サウジで井上尚弥と競演浮上の20歳のアマ7冠“超ホープ”坂井優太が追い求める「パーフェクトボクシング」とは?

 父には不完全燃焼となる予感があったという。
 今回は同じ関西出身でアマ時代から互いにしのぎを削ってきた同級生である真正ジムのホープ、伊藤千飛と計36ラウンドのスパーリングで調整してきた。だが、大阪でユースタイトルを獲得した6月15日の前戦から、試合間隔が約2か月しかなかったため、走り込みなどの強化期間を作ることができず、対ヤン・チュンファ用の戦術を煮詰めることができなかった。
 さらに腰を痛め、酷暑の影響もあってか「足に力が入らない」時期もあったという。
 それでも「世界戦が決まればどんな悪条件でもいかなくてはならない」(伸克さん)と、来る日に備えての絶好のシミュレーションと受け止めて、できる限りの準備をした。
 さらに坂井は、「もしアクシデントで左手が使えなければ右1本になるし、スイッチで攻撃の引き出しを増やすために」と、右構えのシャドーを練習に取り入れることまでしていた。それでも「打たせずに打つ」という理想を体現できなかったことが反省点なのだ。
「試合前は倒したかったが、僕は、避け方やステップも見てもらいたい」
 父もこう付け加えた。
「全部KOするよりも一発ももらわない試合を作りたい。それが一番強い。(井上)尚弥さんもそう。でも、このレベルでこれではね。そこを見せることができず、お客さんに申し訳ない」
 井上尚弥は、被弾もダウンを喫している。だが、2人は、井上尚弥と違って、まだ相手が世界レベルでもなく、プレッシャーもない状況で一発ももらわずに倒すパーフェクトなボクシングを実現できていないことを悔しがる。
 この向上心こそが坂井がネクストモンスターと評価される所以なのだろう。
 その可能性に目をつけたのが「リヤドシーズン」の責任者であるサウジアラビアの総合娯楽庁のトゥルキ・アルシェイク長官だ。12月27日にサウジアラビアで井上尚弥vsアラン・ピカソ(メキシコ)をメインにした日本オールスターvs世界選抜の全面対抗戦が計画されているが、坂井にも白羽の矢が立ったようだ。
「5ラウンドでもしんどくなかった。スタミナ的にいけた。次はパーフェクトにいけると思う。サウジではパーフェクトの坂井優太で試合ができたらいい」
 20歳の超ホープの世界デビューの日が近づいている。
 ちなみに金メダルを獲得した世界ユースでスペインに遠征した以外に海外経験はないが「時差なんか気にならない、どこでも眠れる」そうだ。

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