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天心が相次ぐリング事故を受けて「格闘家緊急ミーティング」を提言した
天心が相次ぐリング事故を受けて「格闘家緊急ミーティング」を提言した

欠けていた論点…相次ぐリング事故を受けて那須川天心が訴えた「ボクシングを考えている選手で一度話したい」の“緊急格闘家ミーティング”開催プランは意義のある重要な提言だ

 プロボクシングのWBC、WBA世界バンタム級1位の那須川天心(27、帝拳)が、自腹で生まれ故郷の千葉県松戸市で2日連続で開催する「天心祭」が23日に開幕。囲み会見で同門のジムメイトを含む2人が亡くなったリング事故について触れ「ボクシングを考えている選手で一回話したい」と、再発防止のための格闘家大会議の実施を訴えた。

 「こういうこともあるよとの覚悟」

 天心が声をあげた。
 ジムメイトの浦川大将さんと、M.Tジムの神足茂利さんが2日の興行でのリング事故で亡くなった。この興行は天心が所属する帝拳のプロモート。天心は告別式などにも参列した。
「しょうがないとは言えない。真摯に受け止めて、誰が悪いという原因を探すより、こういうこともあるよって、覚悟してやっていかなきゃいけない。全員、気を引き締めなきゃいけない」
 そう自分に言い聞かせるように語った。
 格闘技を始めたときから危険と背中合わせのリスクは理解している。
「表に立つ以上、ずっと覚悟はある。こうなることは仕方ないとは思えない。普通にあるよね、と理解はしている。だからと言ってそれだけで終わらせたくない。こういうことがあっても格闘技は続く。やっていかなくちゃいけない」
 そして天心はこう訴えた。
「ボクシングだけでなく格闘技ではこういうことは普通に起こる。なのに下品な煽り合いをやってしまっている。一個一個、格闘技を見つめ直す必要がある。JBCとか、運営側だけで(再発防止策などを)話すんじゃなく、1回、ボクシングのことを考えている選手を集めて話した方がいい。結論が出るわけじゃないと思うが、それをやることで、ファンも、見ている人も納得させる説得力という意味で大事。ボクシング界だけじゃなく格闘技界の大会議。スター選手とかをみんな集めてね。仲良くなるんじゃなく、熱をしっかりと作ることをやった方がいい」
 選手ミーティングの開催を呼びかけた。
 ボクシング界だけでなく、親交のあるRIZINファイターである総合格闘家の朝倉未来や、昨年穴口一輝さんが亡くなったときから、数々の問題提起を行ってきた総合格闘家の青木真也らに声をかけたいという。
「青木さんはまとも。しっかりと声を聞いた方がいい。穴口選手の(事故の)時も言っていました。あれは美談にしちゃいけない」
 天心が持ち出したのは、穴口さんが亡くなった現在WBA世界バンタム級休養王者の堤聖也(角海老宝石)との日本同級タイトル戦を兼ねた「モンスタートーナメント決勝戦」が、年間最高試合に選ばれたことに青木が「お気持ち表明や美談で済ませてはいけない話」と問題提起した発言。

 ボクシング関係者の誰も美談などにしておらず賞が決定したのも、穴口さんが亡くなる前で、青木の発言には、誤解と認識不足があった。SNSではスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(大橋)との論争にもなった。筆者も、青木のエキセントリックな発言には問題があったと感じたが、「改善しなければならない」との提案には意義はあった。
 その後もリング事故が相次いでいる。
 穴口さんの事故後に医事講習会の開催や日本タイトルと同挑戦者決定戦での30日前、15日前の事前計量が導入されるなどの再発防止策が実施されたが事故の歯止めとはならなかった。今年5月のIBF世界ミニマム級タイトルマッチで重岡銀次朗(ワタナベ)が試合後に意識を失い、開頭手術、最近、熊本のリハビリ病院に転院したが、いまだに意識は戻っていない。そして2日の2人の同時の事故。また協会は「この2年半に6人の開頭手術があった」ことを明かしている。

 

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