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“替え玉ボクサー事件”の当事者だったオイコラ(右)と日本フェザー級王者の松本圭佑が2冠戦の前日計量後にフェイスオフ(写真・山口裕朗)
“替え玉ボクサー事件”の当事者だったオイコラ(右)と日本フェザー級王者の松本圭佑が2冠戦の前日計量後にフェイスオフ(写真・山口裕朗)

「もう終わった話だ。オレは何も知らない」“替え玉ボクサー事件”当事者のオイコラが不機嫌モード…今日“ミラモン”松本圭佑と注目のフェザー級2冠戦

 プロボクシングの3大タイトル戦が組まれた「フェニックスバトル103」(30日・後楽園)の前日計量が29日、都内のJBCで行われ、6試合に出場する全12選手が一発でクリアした。注目はメインでWBOアジアパシフィック・フェザー級王座決定戦&日本フェザー級タイトルマッチを戦う日本フェザー級王者の松本圭佑(24、大橋)と日本同級1位のリドワン・オイコラ(26、平仲)との一戦。オイコラは5月14日の前戦で1回KO勝利していたが、相手がプロライセンスを持たない“替え玉ボクサー”だったことが発覚し、試合の記録そのものが抹消された。発覚後、公の場に出てくるのは初めてだったが、その話になると「オレは何も知らなかった。もう終わった話だ」と不機嫌モードに。一方の“ミライモンスター”も「そういう話題に左右されずに勝ちに徹する」と勝利を宣言した。注目のタイトル戦の結末やいかに…。なおセミファイナルでは、モンスタートーナメント準決勝として日本バンタム級タイトルマッチが組まれ王者の堤聖也(27、角海老宝石)が 同級2位の 増田陸(25、帝拳)と対戦、第4試合のWBOアジアパシフィック・スーパーライト級王座決定戦では、WBC&WBO世界スーパーバンタム級王者、井上尚弥(30、大橋)の“いとこ”である井上浩樹(31、大橋)が ハイバード・アブドゥラスル・イスモリロフ (26、ウズベキスタン) と対戦する。

 日本王者の松本は「明日別人だったらヤバイですね」とジョーク

 

 ボクシング界を震撼させた“替え玉ボクサー事件”の当事者が、事件後に初めて公の場に姿を現した。5月14日に北海道で行われた興行で当初対戦予定だったサミュエル・モセス(ナイジェリア)とはまったくの別人のプロライセンスを持たない素人と対戦して1回1分55秒にワンパンチでKO勝利を収めていたオイコラだ。
「それはもう終わった話だ」
 筆者から替え玉事件についての質問を受けると不機嫌モードに突入した。
 JBCは、試合そのものを記録から抹消したが、オイコラ本人は替え玉事件にかかわっていないことを認め、日本フェザー級王者、松本への指名挑戦と、WBOアジアパシフィック同級王座決定戦の2冠戦への出場を承認。オイコラは、前日計量に現れリミット150グラムアンダーの57.0キロで一発クリアした。
 対戦相手の“ミライモンスター”松本とのツーショット写真を求められると、顔の向きを変え笑顔でファイティングポーズを取るなどおどけて見せ、今回の興行の第1試合でプロデビューする“親友”山口聖矢(大橋)の付き添いで計量会場に来た井上尚弥の姿を見つけると喜んで記念写真まで求めていた。
 囲み取材でも最初は、「コンディションはいい。明日はベストを尽くして絶対勝つ。100%の自信がある」と“普通”に語っていたが、“替え玉ボクサー事件”についての質問を受けると、一転、顔色を変え、声のトーンを上げた。
「それは終わった話だ。もう明日から新しいことが始まるんだ」
 JBCはオイコラを不問に付した。
 平仲信明会長も「彼らは、試合前日の計量で、つっかかるようなトラブルになりかけたくらいで互いに話もしていない。リングに上がるまで接触はまったくなかったから、オイコラが相手を替え玉だと知りようがない」と説明していた。だが、同じナイジェリア人同士で試合前に替え玉だと気がついていなかったのかの疑問は残っていた。
――相手が替え玉とは気がつかなかったのか?
 そう聞くと、ぶすっとした表情で「何も知らなかった。わからない。何も知らない」とだけ繰り返し、“その話題に触れるな”のオーラを出した。
 オイコラをスカウトしてきた平仲ボクシングスクールジムのトレーナーライセンスを持つタレントで格闘家でもあるボビー・オロゴンの姿はなかった。まだJBCからの正式な通達はないが、今回の“替え玉ボクサー事件”に深く関与した張本人の一人としてライセンス停止処分が科せられる予定。平仲会長によると、ビジネスで世界を飛び回り、あの事件の発覚以来、沖縄のジムに寄り付かないという。
ただオイコラは、今回の2冠戦に備えて7月上旬には再来日して、沖縄の坂道を使って走り込み、実戦練習を重ねた。
「台風などの影響で東京での出稽古はできなかったが、パートナーは沖縄に呼んだし計100ラウンド以上のスパーリングを消化している。準備は万全。強くなっていますよ」
 平仲会長はそう語り、オイコラ自身も、タイトル奪取への自信を重ねて強調した。
「松本は素晴らしいボクサーでリスペクトしている。だが、彼がチャンピオンなら、オレもチャンピオン。明日はオレがチャンピオンになる」
 オイコラは、昨年来日するまでナイジェリアで、スーパーフェザー級の国内王座とJBC非公認WBFインターナショナルスーパーフェザー級王座を獲得しており、自らを「チャンピオン」と語ったのである。

 

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