
「アマチュアに毛が生えたような野球の一体どこが『すげえ試合』なのか」巨人重鎮OBが5点差を逆転されサヨナラ負けの阿部監督の”試合後談話”にモノ申す…「このままじゃ来年も勝てない」
「川上哲治さんがV9を成し遂げた時代から、ジャイアンツには常勝のプライドがあった。負けていても最後には逆転で勝つという今日の横浜のような野球を巨人がやっていた。そのジャイアンツのプライドはどこへいったのか。私には惰性でやっているようにしか見えない。選手の技術と精神がマッチしていないんだ。それを教えるのが監督、コーチのはずだがね。阿部は大いに反省し、勉強し直さなければダメだ」
さらに広岡氏が問題視したのは、来季への希望が見当たらないことだ。
「どう再建するつもりなのか。優勝した去年、育ちかけていた井上、赤星ら若手投手は伸びなかった。出てきたのは山崎一人で、後はむしろ後退したんじゃないか。これも悪いのは監督、コーチ。ベンチが我慢して使わなきゃ、若手は力を出せないんだよ」
山崎は、防御率2.07でタイトルを争い11勝4敗と貯金を作った。一方で赤星は22試合に先発して防御率は2,68だったが、6勝9敗と負けが先行。井上は20試合先発で防御率3.70、4勝8敗、この日、救援した西舘もフォーム改造して臨んだ今季は、7試合に先発しただけで防御率4.22、2勝3敗の数字しか残せなかった。
もし第3戦があれば先発は左腕の横川だった。苦しいチーム事情もあって夏以降にローテー入りしたが、最後の登板となった9月28日のヤクルト戦では4失点して5回を投げ切れなかった。
一方で野手は、泉口が打率を3割に乗せ首位打者争いをしてショートのポジションで一本立ち、中山、佐々木らもクライマックスシリーズのスタメンに名を連ねるようにはなった。
岡本が怪我で長期離脱した際にソフトバンクとのトレードで緊急獲得したリチャードも、プロ初の2桁本塁打となる11本塁打をマークした。だが、広岡氏の目には「野手も成長していない。ここぞの場面で打てない選手ばかりだ」と映った。
「打順をコロコロ変えるからだ。阪神のように我慢して固定して使わないと選手は育たない。それと長年FAなどの補強に頼ってきたからこうなった。若手が育たないというひずみとなって出ている。大事なクライマックスシリーズで甲斐は一体どこで何をしているんだ」
甲斐は8月23日の横浜DeNA戦でのクロスプレーで右手中指を骨折し、クライマックスシリーズに間に合わなかった。まったくの不可抗力ではあるが、広岡氏は、そもそも「岸田で十分だ」と甲斐の獲得に否定的だった。
今オフには巨人のFA補強がまた話題になるだろう。投手では、楽天の則本、中日の柳、オリックスの山岡、野手では楽天の辰己、阪神の近本が目玉となる。
広岡氏は「もうFAに手を出すな」と声をあげる。
「もうFAはいらんよ。先発は駒不足。岡本のメジャーがどうなるか知らんが、野手も軸になる選手が欠けている状況。補強に頼りたくなるんだろうが、補強するなら、選手を根気強く教えることのできるコーチだろう。ソフトバンクや日ハムの新庄のように内側から育てることに目を向けるべき。必要なのは、世代交代。いつまでもベテランの丸や坂本に頼っているようじゃいかん」
試合後、阿部監督は緊急ミーティングを開き、来季へ向けて檄を飛ばしたという。クライマックスシリーズの敗戦から、来季就任3年目を迎える阿部監督の”逆襲ロード”がスタートを切ったが、巨人の重鎮が警鐘が鳴らすように、その道のりは厳しいものになるのかもしれない。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)