
「来季の契約をあきらめない」角田裕毅が13番手から逆襲の7位入賞で残留に望み…メキース代表も「力強いレース」と評価…接触しかけたベアマンが激怒も「ミスはしていない」と一蹴
34周目には冷や汗をかく攻防も経験している。
ターン15で8番手のベアマンがオーバーテイクを仕掛けてきた直後。インへ飛び込んできたベアマンに対して、角田もブロックラインを取って対応する。あわや接触かと思われた危険な状況で、行き場を失ったベアマンがコースオフ。さらにマシンのコントールが不可能になり、スピンを喫してしまった。
英国のモータースポーツ専門メディア『RACEFANS.NET』は、角田の動きに対して決勝後も、憤慨するベアマンのコメントを伝えている。
「僕が素早く回避しなければ、大きなクラッシュになっていた。彼の動きはレースで守られるべき精神に反するものであり、カートに挑んでいる未来ある子どもたちに、とてもじゃないが見せられるものでもなかった。思うに彼は今、必死に走りすぎているのではないか。あの場面でのディフェンスにもそうした思いが反映されていたと思う」
米国のモータースポーツ専門メディア『motorsport.com』もローソンの因縁を暗にほのめかしながら、最後は角田を突き放すベアマンのコメントを伝えている。
「彼は他のドライバーとの間でも、この種の問題を抱えているよね。彼が繰り返す愚かな運転は本当に馬鹿げているように思えてならない。これから彼と話し合うかって? 答えはノーだ。何を言っても彼が変わるとは思えないからだ」
しかし、34周目の攻防はスチュワード(審議委員)の審議対象にはなっていない。こうした状況を受けて、角田は前出のフラッシュインタビューでこう語っている。
「彼(ベアマン)のオンボード映像を確認する必要があるけど、結果的にああなってしまったのは明らかに不運だった。僕たちはそれまで激しくフェアに戦っていた。だからこそ、あのような結末になってしまったのを残念に思う。ただ、僕の見解では特に大きなミスは犯していない。僕に言えるのはこれだけだ」
決勝は絶対的エース、マックス・フェルスタッペン(28、オランダ)が圧巻のポール・トゥ・ウィンで今季5勝目をマークした。ドライバーズポイントを300点台に乗せて、逆転での5年連続のドライバーズ王者獲得へ望みをつないだ。
さらに2人のドライバーが各レースで獲得したポイントの合計で争われるコンストラクターズランキングでも、レッドブルは41ポイントを獲得。今季の通算を331ポイントとして2位のメルセデスとの差を「35」から「16」へ、3位のフェラーリとの差を「8」から「3」へとそれぞれ詰めた。
マクラーレンが独走で連覇を達成している中で、現在4位のレッドブルは2位でのフィニッシュを王者奪還に変わる新たな目標に掲げている。スプリントを含めて上位への肉迫に貢献できた状況に、角田は言葉を弾ませた。
「コンストラクターズ選手権争いも、もちろん非常に重要だと考えている。その意味でドライバーズ選手権でも、可能な限り上位を目指ししていきたい」
個人としてポイントを上積みできれば、レッドブルに貢献できるだけでなく、自身初の表彰台に立ったオランダGP以降の4戦で、やや精彩を欠くハジャーとの評価を覆すアピールポイントにもなるかもしれない。来季の去就が決まる“Xデー”前の最後の一戦となるメキシコGPは24日(日本時間25日)に開幕する。