
急転残留の可能性?「様子を見てみようじゃないか」角田裕毅の米国GP7位入賞を受けてハジャー昇格派のレッドブル重鎮が来季去就の決定時期の先延ばしを示唆
「ハジャーは素晴らしいルーキーシーズンを過ごしてきたが、現段階で来季のレッドブルのシートを任せられるのかと言えば、イエスと即答するのはまだ難しい。もちろん筆頭候補であるのは間違いないが、心配されるのはレッドブルへ挑戦する準備がまだ整っていない点だ。オースティン(米国GP)はその一例であり、Q1の最初のフライングラップで喫したクラッシュは明らかに不必要だった。もし彼がレッドブルの一員として来季へ足を踏み入れれば、この種のミスがはるかに顕著になる」
一転、角田に来季残留の可能性が出てきた状況の変化を、英国出身のF1の著名ジャーナリスト、サンダース氏は、英国のF1専門メディア『F1 OVERSTEER』で、こう分析した。
「昨季を思い出して欲しい。12月中旬にセルジオ・ペレスを解雇し、レーシングブルズからリアム・ローソンの昇格を発表したように、レッドブルはその気になれば全レースを終えてからでもドライバーの交代に踏み切れる。実際、レッドブルはペレスに対して『ひとつだけでいいので、あなたを引き留める理由を教えて下さい』といった感じで接していた。今季に関してもマルコがメキシコGP後に来季の陣容を発表する方針を示していた点に、私はかなり奇異な思いを抱いていた。角田がメキシコでも再び好調な週末を過ごせたら、レッドブルが決断を急ぐ必要がなくなる。彼らは間違いなく『よし、あと数レースを見てみよう』と言い始めるはずだ」
突出した才能を持つフェルスタッペンとパートナーを組むレッドブルのセカンドドライバーは「毒入りの聖杯を飲む」と揶揄されてきた。直近では優勝6回の実績を持つペレスが契約を残して解雇され、ローソンも開幕2戦を終えた段階で見限られ、昇格した角田も特に不振を極めた前半戦でさまざまな批判にさらされた。
前出のサンダース氏は、こんな指摘もつけ加えている。
「長期的な視点で見れば、フェルスタッペンと組んだセカンドドライバーはその才能が台無しにされる恐れがある。それはレーシングブルズへ復帰したローソンが持ち直していることでもよくわかるし、来季はハジャーが負のスパイラルに陥るかもしれない。その意味でも最終的な決断は非常に難しいものになる」
今季も残りわずか5戦。角田に逆転残留の可能性は出てきたが、角田が続けて上位入賞を果たせなければ、ハジャーが再び優位に立つだろう。さらにマルコ氏の愛弟子アービッド・リンドブラッド(18、英国)のレーシングブルズ昇格が確実視される中で、来季のF1への生き残りをかけて角田とローソンが一騎打ちを演じる構図も生まれている。
生き残りをかけて挑むメキシコGPは、標高2300mの高地メキシコシティのエルマノス・ロドリゲス・サーキットを舞台に24日(日本時間25日)に開幕する。