近鉄の“伝説助っ人”「ブライアント級のパワーがある」日ハム2位指名の大阪学院大エドポロ・ケインに元バファローズ戦士の中村監督が太鼓判「将来は30本打てる」
プロ野球ドラフト会議が23日行われ、日本ハムから2位指名された大阪学院大のエドポロ・ケイン外野手(22)が大阪・吹田市のキャンパス内で会見。「歴史に名を残すような選手になりたい」と誓った。日本航空高時代に指名漏れを経験していたこともあり、指名直後には、感激のあまり号泣。兄がRIZINなどでヘビー級の総合格闘家として活躍するエドポロ・キング(24)でケインのパワーも怪物級。元近鉄の中村良二監督(57)は、伝説の助っ人のラルフ・ブライアント級だと絶賛した。
兄はRIZINにも出場している総合格闘家エドポロ・キング
2位という指名順は、まさかの高評価だったのだろう。
会見の席に座ったケインは、1m90の大きな肉体の首をすくめ、少し照れたように「ありがとうございます」と第一声。そこから突然、顔をくしゃくしゃにして大粒の涙を流した。
「高校の時に指名漏れして、いろいろ言われ、悔しい思いもしたけれど、頑張って良かった。プロに行くためにここまで頑張って、高い評価をしていただき、うれしい。4年前の自分に”頑張ったら行けるぞ!”と言いたい」
改めて、涙の理由を聞かれると「家族の支えがあったから。ふだんは泣くことはないです。人前で泣いたのは初めて」と照れ笑いを浮かべた。
父はナイジェリア人で、母が韓国人。現在は韓国籍の6人兄弟の末っ子で、次兄のエドポロ・キングは、規格外のヘビー級の総合格闘家として活躍しており、この日も祝福に駆けつけた。ケインも、その兄に負けじと体重を101キロまで増量。胸板の厚さと下半身の筋肉の張りは、格闘家でも通用するほど。もちろん、魅力はその規格外の身体から生み出される飛距離だ。右打席から放たれた打球は中堅から右方向でも軽々とスタンドに届く。関西六大学のリーグ記録更新こそならなかったものの、通算11本塁打。しかも、遠投が120メートルの強肩にして、50メートル走6秒1のスピードも魅力だ。走攻守が揃っている。
早くも気持ちは北の大地に飛んでいた。
会見が進むと涙も乾き、持ち前の明るいキャラが甦った。
「北海道には、修学旅行で一度だけ函館に行ったことがあります。北海道のファンは温かい印象。寒い北海道ですが、寒さに負けないように頑張りたい。寒いのは苦手?いえ、得意です」
今季の日本ハムは、新庄剛志監督の下ソフトバンクと最後まで激しく首位争いを演じた。クライマックスシリーズでも2連敗から3連勝で、王者をあと一歩のところまで追い詰めた。グッドルーザーと呼べるほどの素晴らしい戦いぶりだった。
その日本ハムについてエドポロは、「若い選手が多くて強いチームだなという印象。だれよりも努力してだれよりも活躍したい」と話し、気になる選手には、同タイプで、レギュラーとして活躍している万波中正、水谷瞬の2人の先輩外野手の名前を挙げた。
「僕と同じハーフで2人ともバッティングが良くて肩が強い」
コンゴ人を父に持つ万波、父がナイジェリア人の水谷を追いかける理想のプレーヤーとして意識している。そして早くも新庄監督を「選手をやる気にさせる。外野守備のやり方を聞いてみたい」と慕い、「日本一の球場だと思っているエスコンフィールドでプレーするのが楽しみ」と、新天地に瞳を輝かせた。
ケインにとっては理想的なチームから指名されたのかもしれない。日本ハムは若手育成に定評があり、ダルビッシュ有や大谷翔平は、もちろんのこと、中田翔、近藤健介、清宮幸太郎らのポテンシャルのある高卒野手を潰さずにトップ選手に育ててきた。
2018年のドラフト4位の万波も、現役ドラフトでソフトバンクから獲得した水谷の順調に育ち、今や堂々のレギュラー。そこに大型のケインが加われば、新時代のスーパー外野陣が完成することになる。

