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8回を投げ切った阪神の伊藤将司だが3回に村上宗隆に浴びた3ランが悔やまれる(資料写真・黒田史夫)
8回を投げ切った阪神の伊藤将司だが3回に村上宗隆に浴びた3ランが悔やまれる(資料写真・黒田史夫)

なぜ阪神はヤクルト村上宗隆に決勝42号3ランを打たれ泥沼8連敗を喫したのか…中途半端な配球とベンチワークの消極性

 

阪神が17日、神宮球場で行われたヤクルト戦に2-4で敗れ、ついに連敗は「8」まで伸び借金「5」となった。先発の伊藤将司は3回に守備の乱れから二死一、三塁のピンチを背負い、史上最年少の3冠王を狙う村上宗隆に先制の42号3ランを浴び、8回を投げ切ったが、6番に降格している佐藤輝明の17号2ランも“空砲”となりトンネルを抜けることができなかった。すべてが中途半端なのが現状。強力投手陣を持ちながら、最悪このままならBクラスに終わる可能性も出てきた。

センター島田の記録に残らないミス

 プロではなかなか見ないシーンだった。3回一死から塩見が右中間に高々と上げた打球にセンターの島田は追いつき、落下地点に入った。だが、次の瞬間。ボールは島田がつかもうと伸ばしたグラブの後ろをスルー。塩見が全力疾走を怠っていなかったこともあり三塁へ到達した。記録は三塁打だが、実質はエラー。記録に残らなかったが11試合連続の守備の乱れである。

 内外野の守備コーチを長らく務めた評論家の高代延博氏は、「記録に残らないエラー。目測を誤ったわけではない。打球を追っていき目線が揺れたのかもしれないが、結果的にこのミスが村上の3ランにつながるわけだから集中力を欠いたと批判されても仕方ない」と分析した。

 伊藤に動揺が走ったのか。2年ぶりに2番起用された山田を歩かせ、サンタナはスイングアウトに打ち取り、内野ゴロ、外野フライで先制点という事態は避けたが、二死一、三塁で、7月31日の甲子園で3連発を浴びた、セ、パ通じて最強の4番打者、村上を迎えることになる。

 梅野は三塁ベンチを見た。次打者は中村。昨季は3-0と抑えている。一塁は空いていない。まだ序盤だが、大山、近本、中野を欠き、得点力のない打線の現状を考えると、勝負か、敬遠かの選択がある場面。おそらく「歩かせる」指示はなかったのだろう。

 一方の村上は、「なんとか先制点をとれれば、この試合が優位に進むと思って(絶好球を)待っていました。サンタナが泣きそうな顔でベンチに帰ってきたので、なんとか打ってやろうと打席に入った」と、気迫に満ち溢れていた。

 その初球に梅野は大きく体を外角のボールゾーンに置いて構えた。カットボールはボールとなった。慎重に歩かせてもいいくらいかと思われたが、セットから投球動作に入ろうとした瞬間に梅野は内角に構えたのだ。ツーシームがボールひとつ分真ん中へ。

「コースもよかった。多少詰まりはあったが、しっかり振り抜くことができた」

 村上はバットを一閃。打球がライトスタンド上段へと届く前にもう確信歩きをしてバットを放り投げ、どや顔を浮かべて一塁ベンチを指差した。

 高代氏は、「バッテリーの攻めが中途半端。整理できていなかったのでは?」と指摘した。

「狭い神宮。村上の打棒。二死で次打者が中村であることを考えると一塁は空いていなくても2人でひとつのアウトを取るという考え方で良かったと思う。攻めるのか、逃げるのかをハッキリしておかねばならない場面。慎重に外角球から入ってカウント次第で歩かせても良かったが、2球目に梅野は、内角に体を寄せストライクゾーンにミットを構えていた。攻めるのであれば、内角にツーシームをボールひとつ、ふたつ分、体に近いボールゾーンに投げなければならなかった。バッテリーの意図が見えてこない中途半端な配球。どうするかが整理できていなかったように思える。伊藤は、ほぼ完璧なピッチングをしていただけにもったいない」

 つまりベンチの指示も中途半端だったのだ。

 

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