解任騒ぎの“ポンコツ評価”から一転、ロバーツ監督の逆王手をかけた「5つの神采配」を米メディアやファンがSNSで絶賛
3つ目の“神采配”は、マケイン記者が「山本 → ロブレスキー→ ロウキ → グラスノー の継投」と指摘した継投策。
これまでは継投ミスが目立ち「ポンコツだ」「考えられない」などの批判を浴び、SNSでは「ロバーツアウト(解任)」のハッシュタグまで生まれ、「一刻も早く解任せよ」との声が強くなっていた。
だが、この日は素晴らしい継投策を見せた。山本由伸が6回1失点の好投を見せると、96球でスパっと交代を決断。2番手のジェステイン・ロブレスキーが、7回に二死から二塁打を浴びながらも無失点で切り抜けると、守護神の佐々木朗希を1番のジョージ・スプリンガーから始まる8回から投入した。
佐々木が8回に走者を背負いながらも無失点に抑えると、9回も回跨ぎ登板させた。しかし、佐々木は先頭のアレハンドロ・カークへ投じたスプリッターが抜けて死球を与えてしまう。続くアディソン・バーガーに左中間を真っ二つに割る長打を浴びる。しかし、ここで幸運なアクシデントが起きた。なんとその打球がフェンスの下に挟まったのだ。
ロバーツ監督は、スタメンではセンターにトミー・エドマンを起用していたが、9回から守備のスペシャリストであるジャスティン・ディーンに代えていた。これがマケイン記者が「ディーンを守備固めに使っていた」と指摘した4つ目の“神采配”のポイント。
ディーンは、打球をあわてて取ろうとせず、手をあげて審判にボールが挟まったことをアピール。審判もこれを認めた。すでに打者走者まで生還して3-3の同点となっていたが、エンタイトル二塁打となり、得点は認められず、無死二、三塁から再開することになった。
ブルージェイズベンチは、チャレンジしたが、リプレー検証でも判定は覆ることはなかった。
米「ドジャーブルー」によると、ディーンは「強い打球だったので普通ならフェンスに当たって跳ね返ると思ったが、全然、戻ってこなかった。それで『あ、これはルール上の“挟まった”ケースだな』と確信してボールを取りいかずに手を上げた。野球を始めた頃から教わること。『こういうときは手を上げろ』と。前にも見たことはあったが、実際に自分がやるのは初めてだった」と、その場面を振り返った。
そしてロバーツ監督は、ここで佐々木から第7戦の先発が予想されていたグラスノーへの交代を決断した。
「その時点でロウキの球のキレが少し落ちていると感じたんだ。空振りと打ち損じさせる投手が必要だと思ってグラスノーをブルペンで準備させていた。空振りを取れるエリートの球が欲しかったのでグラスノーを起用する決断をした」
グラスノーは、好調のアーニー・クレメントを1球でファーストフライに打ち取る。これは“ピッチング忍者”ことアナリストのロブ・フリードマン氏によると、新球のツーシームだったという。

