堤聖也が12.17両国で井上尚弥と2度戦った5階級制覇王者ドネアとWBA統一戦…「負けるわけにはいかない」…先に見据える天心ー拓真の勝者、井岡一翔とのビッグマッチ
プロボクシングの「U―NEXT BOXING.4」が12月17日に両国国技館で開催されることが6日、都内ホテルで発表され、メインではWBA世界バンタム級の正規王者に復帰した堤聖也(29、角海老宝石)が5階級制覇王者で同暫定王者のノニト・ドネア(42、フィリピン)と団体内統一戦を行い、セミではWBA世界ライトフライ級王者の高見亨介(23、帝拳)が初防衛戦でWBO世界同級王者のレネ・サンティアゴ(33、プエルトリコ)と2団体統一戦に挑むことになった。注目のダブル世界戦だ。
「死にモノ狂いで戦わねば勝てない」
まさかレジェンドと戦えるとは思ってもいなかった。
「憧れとは違うが、僕が高校、大学の頃からトップでやっていて、みんなが知っているとんでもない人。“その人とやるんだ”と当時の僕に伝えたいくらいですね」
目の手術で休養王者となっていた堤は、当初、7月に比嘉大吾(志成)の挑戦を苦しいドローで退けた正規王者のアントニオ・バルガス(米国)との団体統一戦が予定されていた。だが、バルガスが母親の死去によるショックで練習もできない状況となったため、急きょ、暫定王者のドネアとの団体内統一戦に切り替わった。2か月前の練習中にその連絡を受けた堤は「動揺した」という。
「オレ本当にドネアとやんの?と興奮したし、そわそわして浮足だった」
42歳のドネアは5階級を制覇した伝説の王者だ。2019年11月にはWBA世界バンタム級王者として、井上尚弥(大橋)と対戦して判定負けを喫したが、“閃光”のニックネームの由来となった左フックで2ラウンドに眼窩底骨折を負わせた。2022年の再戦では2ラウンドTKO負け、 2023年にはWBC世界同級王座決定戦でアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に判定負けを喫して引退説も流れたが、今年6月に2年ぶりに復帰し、いきなり暫定王座決定戦出場の抜擢を受けて同級8位 アンドレス・カンポス(チリ)に9回負傷判定で3-0勝利した。
往年のスピードやキレはなく、伝家の宝刀の左フックも不発だったがさすがのスキルでほぼ一発も被弾しないまま試合をコントロールした。辛口で知られる米専門サイト「ボクシングニュース24/7」は「ドネアの勝利は、彼の理想や満足のいく方法からほど遠かったが、42歳でまだ戦えることを証明した」と評価したほど。
堤は「簡単に勝てる相手ではないがイメージはできあがっている。ヒヤヒヤさせるが面白い試合をしたい」とした上で「映像を見ると、実際、身体的には衰えてはいるがドネアはドネア」という表現を使った。
「左フックもそう。細かい部分のカウンターだったり、効かされた時の対処とか、ボディの打ち分けの軌道やフェイントの間。負けている試合でも危ないフックを狙っている。偉大なファイターだなと。12ラウンド目でもパンチが死んでいない。5階級も制覇しているチャンプはチャンプだなと」
さらにこうも続けた。
「あの左を受けたらダメでしょう。(井上)尚弥1では、ボディでダウンを奪われ絶体絶命の場面でも、ずっと左フックを合わせていた。打たれ弱いこともない。身体能力が衰えても、パンチ力は衰えない。持っているタイミング、スキルも失われない。反応、フィジカル、体力は全盛期じゃないので突くならその部分。でも持っているスキルを発揮されると誤魔化しが上手く一発も厄介。(こっちは)死にモノ狂いですよね」
ドネアはここ数試合は省エネボクシングを徹底している。一方の堤は1ラウンドから12ラウンドまで全力ファイトできるスタミナと粘りが持ち味。ドネアに省エネを許さず体力を削り、後半勝負に持ち込めば、そこに十分の勝機があるとも思える。だが堤はそんな甘いものではないと考えている。

