「なぜこうなったか。まったく理解できない」角田裕毅がサンパウロGPフリー走行1回目でまさかの単独クラッシュ…スプリント予選は1回目で18番手に終わりショックを隠さず
F1の今季第21戦となるサンパウロGPが7日、ブラジル南部のインテルラゴス・サーキットで開幕し、レッドブルの角田裕毅(25)がスプリント予選1回目(SQ1)で18番手に終わって敗退した。フリー走行1回目(FP1)では開始早々にクラッシュしてフロントウイングを損傷。十分な走行時間も得られなかった影響を否定しながらも、SQ1敗退に「なぜこうなったのか、まったく理解できない」と落胆した表情を見せた。
単独クラッシュで「油圧システム損傷の疑い」
最悪の幕開けとなった。
スプリント予選と決勝が開催される関係で、一度だけしか行われないフリー走行が始まって、わずか6分ほどが経過したときだった。ターン4でコントロールを失った角田のマシンが縁石に乗って単独スピン。そのままタイヤウオールに衝突するクラッシュを喫し、フロントウイングの左側に大きなダメージを負った。
何とか自走してピットインした角田が直面したのは、旧型のフロントウイングへの交換だけではなかった。再びコースインするまでに30分近くもの時間を要した理由を、ドイツのモータースポーツ専門メディア『MOTORSPORT-TOTAL.COM』がこう伝えた。
「問題はフロントウイング以外にも生じていた。油圧システムが損傷している疑いもあったからだ。ちなみに、角田がクラッシュしてから数分後に、チームメイトのマックス・フェルスタッペンもまったく同じ地点でスリップした。しかし、4年連続で世界チャンピオンを獲得してきた男は、クラッシュはおろかスピンも回避できた」
最終的に角田はFP1で20番手と最下位のタイムに終わった。しかも、1時間のセッションの半分ほどをピットで過ごした影響もあってラップ回数はわずか20周。最多だったメルセデスのキミ・アントネッリ(19、イタリア)の37周との差は、そのままFP1を介して得られる各種情報の少なさを意味していた。
約3時間後に開始された12分間のスプリント予選(SQ1)。トラフィック(渋滞)を嫌ったからか。真っ先にコースインした角田は1分11秒353をマーク。FP1での最速ラップだった1分11秒763こそ上回ったものの、全体では決して速いタイムではなかった。次々に他車に抜かれた角田は、瞬く間に20番手へと後退した。
残り2分でラストアタックに出た角田は1分10秒692をマーク。この時点で13番手につけたが、同じくラストアタックする他車に次々と抜かれていく。キック・ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグ(38、ドイツ)に抜かれてノックアウト圏の16番手へ後退した角田は、最終的には18番手でSQ1敗退を喫した。
F1公式サイトが伝えたセッション後のフラッシュインタビュー。FP1のクラッシュや走行不足が影響したのか、と問われた角田は「正直、あるとは思わない」と首を横に振りながら次のように答えている。
「もちろん影響はあっただろうが、同時にFP1の終盤における走りの内容は決して悪くなかった。ショートランもロングランも十分こなせたし、スプリント予選でのラップ自体もまずまずだった。ただ、何かが違っていたんだ。なぜこうなったのか、まったく理解できない。本当に謎だね。正直に言えば、全体的にグリップが不足していた。それでも、僕がこれほど大きく遅れた理由を、今はまだ見つけられていない」

