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12年目の覚醒?井上拓真が公開練習で見違える姿を披露した(写真・山口裕朗)
12年目の覚醒?井上拓真が公開練習で見違える姿を披露した(写真・山口裕朗)

「王座返り咲きより天心への黒星」プロ12年目にして覚醒の予感をさせた井上拓真に兄の尚弥が授けた“天心攻略”の秘策

 天心戦勝利のカギは試合展開だろう。
 大橋会長は「前半はスピードに戸惑うが、慣れてそこを越えれば、中盤、終盤で必ず拓真がいけると思っている」と明かした。
 しかし、キックで3ラウンドの戦いが身についている天心の1ラウンドから3ラウンドは滅法強い。ここでペースを握られると、中盤、終盤に追い上げても、スピードとセンスを駆使した徹底したアウトボクシングで空回りさせられる危険性がある。
 序盤から終始、試合を支配する必要がある。
 天心の公開スパー映像をチェックした拓真は「想定内。試合通りというイメージ」とした上で、こう試合に臨む考えを明かした。
「相手の状況よりもすべてに対応できる準備をしている。相手がどう動いても動じずに自分のボクシングを淡々とするつもり。始まった時にどう感じるか。そこで自分をどう出していくか。それだけを考えている」
 尚弥スタイルだ。
 ただ「サプライズ?あるかもしれない」と1ラウンド勝負の可能性も示唆した。
 天心陣営の浜田剛史代表と担当の粟生隆寛トレーナーが目を光らせていた。
「調子はよさそう。上手だし、スピードがある総合力の高い、いい選手だなと。この試合に向けての覚悟が決まったというか、いい表情だった。スピードが上がった? 元々ある選手。そこは天心も想定している、天心のパートナーにスピードのある選手がいたので特に心配はしていない」
 粟生トレーナーは、こう印象を語った上で、大橋会長の“褒め殺し発言”を「天心を評価していただいてますが、うのみにすることなく、1ラウンドから引き締めてポイントを重ねていくつもりで戦っていく」と警戒心を解かなかった。
 そして気になる試合展開についてもこう明かした。
「(1ラウンドから出て)来ることも想定している。アウトボクシング、中間ロングも想定。こちらとしては、どの状況になっても対応できるパートナーもいて練習をしてきた。そこまで気にすることはない。勝ちパターンは想定している、そこを経験、キャリアでごまかされないようにしないとね。天心は天心で自分を貫いて勝ち切るボクシングをしないといけないと思いましたね」
 また拓真のパワーの有無を聞かれ「うーん」とクビをひねった。
 尚弥は9月のアフマダリエフ戦前に帝拳勢とスパーを重ねた。粟生トレーナーは何度も大橋ジムを訪れた際に、拓真の練習を目にしており「天心もしかり、それが当たればどっちも倒すパワーはある」との覚悟を示した。天心は15日にスパーを打ち上げたという。
 井上家の“団結力”でビッグマッチへ臨む拓真か、それとも「ボクシング界といえば井上兄弟。その概念を壊していきたい」と“革命的勝利”を誓う天心か。注目のゴングは5日後だ。

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