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朝倉海が体重超過したアーチュレッタを沈めてRIZIN王座を奪還(写真・RIZIN FF)
朝倉海が体重超過したアーチュレッタを沈めてRIZIN王座を奪還(写真・RIZIN FF)

「アーチュレッタに何かを言うのはやめて!」朝倉海がTKO勝利でRIZINベルトを奪還し体重超過の是非論を吹き飛ばす

  総合格闘技イベント「RIZIN.45」が大晦日の12月31日にさいたまスーパーアリーナで行われ、RIZINバンタム級タイトルマッチで挑戦者の朝倉海(30、JAPAN TOP TEAM)が前王者フアン・アーチュレッタ(36、アメリカ)を2R3分20秒TKO勝利し、3年ぶりに同級王者に返り咲いた。前日計量でリミットの61kgから2.8kgも体重超過したアーチュレッタは、即座に王座をはく奪され、当日の68kg契約での試合決行を朝倉が承諾する異例の形でのゴングだった。

 「正直、メンタルはかなりきつかった」

 

 新王者の第一声がすべてを物語っていた。
「ホッとしています。ひと安心です。もうそれだけです」
 3年前の大晦日に堀口恭司(33、アメリカン・トップチーム)に1RでTKO負けを喫し、手放したバンタム級のベルトを再び巻いた海はさらにこう続けた。
「正直、メンタルはかなりきつかった。昨日から試合ができるのかどうかがわからなくて、朝起きても決まっていなくて、アーチュレッタ選手が本当に体重を落としてくるのかどうかもわからない。どうなるのか、という不安はずっとありました」
 まさかの事態が発覚したのは前日計量の直後だった。初防衛戦に臨むアーチュレッタが、バンタム級のリミットである61kgを何と2.8kgもオーバー。即座にタイトルはく奪が決定し、海が臨むはずだったバンタム級王者は一転して不在となった。
 主催者側と両陣営による話し合いは、平行線をたどったまま試合当日の大晦日を迎えた。最終的にはアーチュレッタの戻し体重の上限を68kgに設定した上で海が勝てば新王者になり、アーチュレッタが勝った場合にはノーコンテストになる形式で合意。ゴング予定時刻の1時間前に再計量を実施し、両者とも68kgをクリアして試合が決行された。
 もっとも海自身は早い段階から覚悟を決めていた。
「僕のなかでは、例えアーチュレッタの体重が何kgでも戦うつもりでした。ただ、コーチたちが絶対にダメだと。68kgくらいじゃないとダメだと言っていた状況でした」
 階級制の競技において過度な体重差がある場合、ダメージが激しく生命にかかわる事故の起きる可能性が出てくる。海の陣営が異を唱えたのは自然の流れだった。SNS上では、試合開催についての是非が議論される展開となったが、RIZINの榊原信行CEO(60)は、ギリギリまでタイトルマッチを開催できる可能性を探し続けた。
「選手に酷な思いをさせるなとか、リスクを背負わせるべきじゃないなど、いろいろな非難もあると思う。今回は海外のMMAメディアも注目していたなかで、日本のRIZINだから決まった裁定だと言われるかもしれないし、これがアメリカなどでは、試合中止とドライに裁かれるかもしれない。ただ、僕からすれば、海外はそこがダメだと思っている」
 日付が元日に変わった後に大会総括会見に臨んだ榊原CEOは、本当に危険な場合はもちろん中止にするとした上で、条件付きで試合決行を決めた理由をこう明かした。
「何らかのトラブルがあっても、リングに上がりたいと望む選手たちがいるし、多くのファンも開催を期待している。それなのにルールだから即、やめてしまおうとなるのは、プロフェッショナルとして間違ったアプローチだと僕は思う。ギリギリまでプロモーターも粘り、選手側も精いっぱい歩み寄る。そこの信頼関係といったものでビジネスが成り立つ。僕たちが届けたいのはそれであり、こうしたアプローチはこれからも続けていきたい」
 非難されることを承知の上での決断だった。

 

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