高額チケット?興行過多?なぜ創設37年目して町田が初優勝した天皇杯決勝の国立競技場は「ガラガラ」だったのか?
神戸とガンバ大阪の関西勢が対峙した昨シーズンの決勝は、11月23日とほぼ同じ時期に行われ、前出したように5万6824人だった。宮本会長は「純粋にファンのベースの数とか、そういったものも検証しなければいけない」と語ったが、その意味で言えば町田のファン・サポーター数の多寡が問われてくる。
しかし、町田は今月9日に国立競技場をホームとしてFC東京とのJ1リーグ戦を開催していて、このときには4万6838人を集客している。16日には同じ顔合わせで天皇杯準決勝が国立競技場で行われ、町田が延長戦の末に2-0でFC東京を振り切った一戦の入場者数は一転して2万5961人と大きく減っている。
一連の状況や数字を踏まえれば、大詰めを迎えた天皇杯の開催そのものが、両チームのファン・サポーター以外のサッカーファンに幅広く認知されていなかった可能性が高い。16日の準決勝を介して決勝開催を知ったとしても中5日という試合間隔で、ましてや3連休の初日となる22日には予定を入れにくい。昨シーズンの準決勝は10月27日に行われていて、決勝まで約1カ月の間隔があった。
そこへ高額なチケット料金が拍車をかける。両チームのサポーターが陣取る両方のゴール裏自由席を除けば決勝は指定席となり、最も安いメイン及びバックスタンド3階のA席で前売り6500円、当日オンライン販売で7000円となっていた。
町田と神戸以外のサッカーファンが観戦しようと思っても、さすがに高額すぎたのではないか。こう問われた宮本会長は「それも含めて、要因を検証する必要があると思っています」と同じニュアンスの言葉を繰り返しただけだった。
今回で105回目となる天皇杯は長く集客に苦労してきた歴史から、1968年度の第48回大会から決勝を元日、舞台を国立競技場で固定して開催してきた。

