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プロ3戦目vsプロ51戦となる世界前哨戦。坪井はクアドラスが笑顔で握手した(写真・山口裕朗)
プロ3戦目vsプロ51戦となる世界前哨戦。坪井はクアドラスが笑顔で握手した(写真・山口裕朗)

「負けているところは何もない。全ラウンドを支配する」プロ3戦目“世界選手権金メダリスト“坪井智也が元世界王者でランキング1位クアドラスとの世界前哨戦を前に豪語

 目を見張る高速連打は、観衆を沸かせたが、倒せなかったことにヤジも飛んだ。ただプロ仕様への変換を試みる中で、無理に倒しにいくと坪井の持ち味が消える。
 しかも今回の相手は勝ちにこだわらねばならない相手。
 坪井に葛藤はない。
「勝ちにこだわって、全ラウンドで支配する方が僕自身の実力がわかる。万が一うまく当たって倒れて終わるより、10ラウンドを通して僕が圧倒的にやれた方が面白い」
 こういう自信もいい。
 スーパーフライ級のリミットに落とすのは、2019年の五輪最終予選で、元4階級制覇王者、田中恒成の兄である亮明に敗れた全日本選手権以来だ。坪井はアマ時代に減量が大きな関門だった。だが、栄養士の資格も持つ妻のサポートで、食事に気をつけ、3か月間もダイエットを続け、「最後の水の調整だけでうまくいった」という。
「ストレスもなく何もきつくなかった」
 減量苦からの解放もプラス材料だ。
 一方のクアドラスは、かつては帝拳に所属、日本に長期滞在していたことがあり、日本語が少しだけ喋れる。10年ぶりの日本のリングとなるが、公式会見では、日本語で「私強い、私速い、私カッコいいです」と語り、「アマの経験のある選手だがプロ経験はこっちが上。力は私の方がある」と、負けていなかった。坪井戦に備え高地トレも行ったという。
 
この日の午前中にサウジアラビアで、彼がターゲットに絞るスーパーフライ級のベルトが3つ統一された。WBC&WBO王者だったバムが、井岡一翔が2度勝てなかったWBA王者のフェルナンド・マルティネスに力の差をみせつけ、10回に見事なカウンターの左フック一発でKO勝利して3団体統一王者となったのだ。
「その試合は見ました?」と聞くと苦笑いを返した。
「さすがに見ない。明日のことで精いっぱいです。足元からと思っているので、明日をどう完璧にこなすだけ」
 もうひとつのIBFのベルトには、12月27日にサウジアラビアで、階級を上げた寺地拳四朗(BMB)が挑むことが発表されている。
 その拳四朗は、バム戦との統一戦を熱望している。坪井が、世界挑戦する頃には、そのベルトは4つにまとまっている可能性もあるだろう。またプロ4戦目で世界ベルトを獲得すれば、田中恒成の持つ5戦目の日本最速世界王者記録を更新することになる。
 その意味でも重要な世界前哨戦。坪井とクアドラスの1戦は天心VS拓真戦の“セミセミ”ファイナルとして行われる。

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