「広島の決断は正しい。日本球界はメジャーのリサイクルショップじゃない」楽天入団決定の前田健太が明かした「広島からのオファー無し」を球界大御所が評価し球界の傾向に苦言
前田はタイガースをリリースされた後、カブスとヤンキースのトリプルAで20試合に先発し、防御率5.40だった。平均球速は約145キロ。マイナーでさえ結果を残せなかった前田に不安がないわけではない。
一方で広島は床田寛樹、森下暢仁、大瀬良大地の3本柱に、森翔平、玉村昇悟と先発は5枚までが揃い、そこに2023年のドラフト1位の常廣羽也斗、同年のドラフト2位で後半に3勝した左腕の高太一、中継ぎで結果を出したルーキー岡本駿の先発転向や、2022年のドラフト1位の斉藤優汰らが成長して食い込んでくることに期待が寄せられている。シーズンを通してみれば、投手陣の駒は多ければ多いほどいいが、マエケンが加わる枠はなかった。
黒田やヤクルトに復帰して優勝に貢献した青木宣親など成功した選手も少なくなく、最近では日ハムからメジャー挑戦を経てソフトバンクに入団した有原航平が今季の優勝に貢献した。
一方で古くは、西武からメジャーを経てソフトバンク(のちに中日、西武)に入団した松坂大輔、帰国先に阪神を選んだ元ロッテの西岡剛など期待外れに終わった選手も目立つ。楽天からマリナーズでの活躍を経て巨人に入団した岩隈久志は2年間で1軍登板はゼロ。大々的に楽天復帰を果たしたが、期待に応えられず自由契約となり、巨人に移籍してやっとのことで日米通算200勝を達成した田中将大も今のところは失敗例に入るだろう。
「マイナーでの厳しさを経験して、それを日本での再スタートに生かす選手もいる。だが、向こうで結果を残せずに戻ってくる選手を好条件で奪い合うという現状は間違っている。上沢のソフトバンク入りの際に問題にもなったが、メジャーと日本との選手の行き来に関しては、ポスティングも含めて、もう一度、コミッショナーがリーダ―シップを取って見直し、整理する必要があるのではないか」
広岡氏はそう提言した。
上沢直之に関しては日ハムからポスティングによるメジャー挑戦を認められたものの、たった1年で帰国の道を選び、しかも、ライバルのソフトバンクに入団したことで、新庄監督が問題提起するなど賛否が起きた。メジャー挑戦をクッションにFA権を得るという“抜け穴”となるからだ。上沢は、しっかりとローテーを守ってソフトバンクの優勝、日本一に貢献している。
果たしてマエケンが楽天でどんな活躍を見せるのか。
前田は自身のインスタ投稿の最後を「カープの選手、そしてファンみなさん日本シリーズでお会いしましょう」という言葉で締めくくっている。(文責・駒沢悟/スポーツライター)

