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横浜DeNAの山崎康晃が史上8人目、史上最年少の通算200セーブの偉業を達成。チームの8連勝に華を添えた(資料写真・黒田史夫)
横浜DeNAの山崎康晃が史上8人目、史上最年少の通算200セーブの偉業を達成。チームの8連勝に華を添えた(資料写真・黒田史夫)

なぜ横浜DeNA三浦監督の采配は冴えわたっているのか…7回の勝負手で申告敬遠を選んだ阪神“矢野采配“を凌駕し8連勝

 

横浜DeNAが24日、京セラドーム大阪で行われた阪神戦に4-0で2試合連続の完封リレーで8連勝、今季の対戦成績を13勝8敗として4試合を残して9年ぶりの対阪神の勝ち越しを決めた。浜口遥大(27)と伊藤将司(26)の投手戦となったが三浦大輔監督(48)は、0-0で迎えた7回に代走、代打攻勢の勝負手を打ち、二死満塁から桑原将志(29)に3号満塁本塁打が飛び出して試合を決めた。9回には二者の出塁を許してセーブシチュエーションとなったところで山崎康晃(29)を投入。山崎は史上8人目、史上最年少での通算200セーブをマークした。ヤクルトが広島に連勝したためゲーム差「4」のままだが、3位阪神とのゲーム差は「7」に開き、セのペナントレースは、ヤクルトと横浜DeNAのマッチレースの様相となってきた。

代打関根が意表つくプッシュバントで満塁舞台をお膳立て

 “ハマの番長”が動く。

 0-0で迎えた7回だ。一死からソトが四球で歩くと、迷わず代走・神里を送った。柴田に手堅くバントで送らせると、代打攻勢に打って出る。まずは戸柱に代えて伊藤光。20日の広島戦で代打タイムリーを放っている現状のベンチ入りメンバーの中での切り札だ。

 ここで阪神ベンチも動く。次打者は浜口。矢野監督は伊藤光を申告敬遠したのだ。阪神打線は、ここまで浜口にわずか3安打無得点に牛耳られていた、まだ球数も87球。あくまでも推測ではあるが、交代してくれれば良し、代打があるとすれば、右の蝦名か、あるいは3人目の捕手となってしまうが右の嶺井だと考え、伊藤光と天秤にかけて見えない相手との勝負を選んだのだろう。

 三浦監督は浜口に代わって左打者の関根を打席に送った。バッティンググローブをつけて打席に立ち、続投の用意をしていた浜口は、そのグローブをベンチに叩きつけて悔しさを露わにした。

 それほどの勝負手だった。

 関根は、ここまで代走、守備固めの起用が主な役割で、代打起用は8月14日のヤクルト戦以来。この時はショートゴロに倒れ、ここまで19度代打で起用され安打は4本しかない。

 しかも左対左である。だが、三浦監督の采配に左投手には右打者という固定観念はない。そして関根は、この打席まで、対右腕には打率.202で対左腕には打率.381。左腕を得意としていた。

 その初球。関根は、二死で左打者ということもあり守備位置を下げていたセカンドの山本の前を狙い、プッシュバントを仕掛けた。阪神内野陣は、完全に意表をつかれ、山本がダッシュしても、原口が飛び出しても間に合わない“死角“に転がったゴロは、内野安打となり満塁の舞台をお膳立てしたのだ。ベンチのサインではなかったという。

「つなぐ」「粘る」の2つは、今季の横浜DeNAのまるでチームスローガンのようなキーワードだ。関根は自分で決めるよりも「つなぐ」ことが仕事だと感じていたのだろう。最下位の悔しさをバネにコーチングスタッフに石井琢朗や、鈴木尚典、斎藤隆らの錚々たる球団OBを集めてスタートした秋季キャンプからチームに徹底してきたのが「つなぐ」というチームバッティングの意識だ。

 そのバトンを1番の桑原は責任をもって受け継いだ。

 

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