「正義が勝った」「プロ意識に欠ける」「醜態だ」井上尚弥と戦ったフルトンが計量失敗のあげく不可解なライト級暫定王座戦で0-3完敗…勝者フォスターにディスられ米メディアから酷評
プロボクシングのWBC世界ライト級暫定王座決定戦が6日(日本時間7日)、米国サンアントニオで行われ、WBC世界フェザー級王者のスティーブン・フルトン(31、米国)がWBC世界スーパーフェザー級王者のオシャキー・フォスター(32、米国)に一人が「119―109」を付ける大差の0-3判定で敗れた。フルトンは2023年7月にスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)に8回TKOで負けて以来のキャリア2敗目。前日計量に失敗、当初WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチだったものが、急きょ、ライト級の暫定王座決定戦に代わるというWBCの不可解な対応のあげくに完敗し、フォスターは「正義が勝った」と叫び、米メディアに酷評された。
「まったく何もできず」
きっと井上尚弥もかつてのライバルの不甲斐ない敗戦に失望しているに違いない。フルトンが計量オーバーの失態のあげく完敗した。
米専門サイト「ボクシングニュース24」が「フルトンは、ほとんど何もできず、ハンドスピード、パワー、テクニックのすべてが不足していたため、フォスターに届かなかった。動きがぎこちなく不器用で。パンチを出すたびにバランスを崩し、空振りしていた」と、酷評した通りの内容で、3階級制覇に失敗した。
同サイトによると試合後にフォスターは興奮気味にこう振り返ったという。
「今夜は復讐が目的じゃなかった。俺のほうが上のファイターだと示したかったんだ。俺は彼を綺麗にアウトボクシングでさばいた。奴に言い訳の余地はない。正義は勝ったんだ」
フォスターの言う「正義」とは、フルトンが犯した計量失格を示している。
「相手は体重超過で、しかも試合間隔も空いていた。でもそれは彼の責任だ。俺は彼に自分のペースをつかませなかった」
そうも批判した。
前日会見やリングへの入場もフォスターが先で完全に「Bサイド」扱いされていた。なおさら我慢ならない思いもあったのだろう。
フルトンは2023年7月に井上に歯が立たず倒されてスーパーバンタム級のWBCとWBOの2つのベルトを失った。階級をフェザー級に上げて再起。復帰2戦目でブランドン・フィゲロア(米国)を封じ込めてWBC世界フェザー級のタイトルを獲得した。だが、そのベルトを防衛して、転級してくる予定の井上との再戦を待つことをせず、3階級制覇となるスーパーフェザー級への挑戦を選んだ。だが、前日計量で、まさかの2ポンド(900グラム)オーバー。お腹がぽっこり出ていた。
しかも、そこにWBCの不可解な裁定が加わった。この試合をフルトンのオーバーした体重に合わせてWBC世界ライト級の暫定王座決定戦に代えたのだ。米老舗誌「ザ・リング」によると、すでにWBCは、来年1月10日に同級1位のリカルド・ヌニェス(パナマ)と同級3位ハディエル・エレーラ(キューバ)の暫定王座決定戦を発表していた。
米専門サイト「ボクシングシーン」は、プロモーターからの働きかけがあったことを明かしているが、なおさら不可解。関係者によると、WBCは、事前計量を義務づけているため、あらかじめフルトンの計量オーバーが予測されていて、その場合に備えて、ひとつ上の階級での暫定王座決定戦を準備していたのではないかという。
前出の「ボクシングニュース24」が伝えたように、フルトンは武器であるはずのスピードとキレでフォスターに劣っていた。
2ラウンドからフォスターにプレスをかけられ、スピードで圧倒された。ジャブの差し合いで負けたフルトンが下がる展開。右のオーバーフックで状況を変えようとするが当たらない。

