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元K-1王者の武居由樹(右)の右ストレートが東洋太平洋王者の顔面を捉える(写真・山口裕朗)
元K-1王者の武居由樹(右)の右ストレートが東洋太平洋王者の顔面を捉える(写真・山口裕朗)

強さは本物!なぜ元K-1王者の武居由樹はボクシング転向5戦5KOで東洋王座を獲得できたのか…バンタム級での世界獲得プラン浮上

 

プロボクシングのOPBF東洋太平洋スーパーバンタム級タイトル戦が26日、後楽園ホールで行われ、挑戦者の元K―1王者の武居由樹(26、大橋)が王者のペテ・アポリナル(27、フィリピン)に5回2分7秒TKOで勝ち、ボクシング転向5戦目(全試合KO)で初のベルトを獲得した。パンチ力とスピードで圧倒した武居は計3度のダウンを奪い、最後は右ストレートがヒットしたところでレフェリーストップ。今後は世界が照準となるが、スーパーバンタム級には来年にもバンタム級の世界3団体統一王者の井上尚弥(29、大橋)が転級する予定のため、嬉しい悲鳴の大橋秀行会長は武居のバンタム級転向の可能性を示唆した。

強烈な右で計3度のダウンを奪う

 もう誰にも文句を言わせない。

 ボクシング転向5戦目の武居が東洋太平洋王者を圧倒した。

 1ラウンドは力みが見え、空振りが目立ったが「なんとなく当たるかなと。探りながらやっていた」という2ラウンドに相手の攻撃を完全に見切って2度のダウンを奪う。

 プレスをかけロープ際で王者が体をかがめたところに右のストレートを打ち降ろして最初のダウン。フィリピン人は立ち上がってきたが、今度は左のストレートを突きあげて距離をつめ、右のショートを横顔に叩き込み、またキャンバスに這わせた。

「最初からゴンゴン当たっていた感触がある」

 担当の“激闘王”八重樫東トレーナーは、「1ラウンドが終わってからは特に修正の指示はしていない。右手は強いんで今回は左手の使い方を練習してきた」というから、まだボクシングキャリアは5戦目だが、K-1時代に培った経験とセンスで修正して見せたのだろう。

 4ラウンドにも右のフックで3度目のダウンを奪う。左のボディから右フックのコンビネーションブローも披露した。

 武居は「それしかない」と謙遜するが、左構えから独特の間合いとリズムで飛んでくるK-1流の豪快な右フックと、左右のボディ攻撃は、東洋タイトル戦でも彼の武器として立派に通用した。

 このラウンド終了時点の公開採点は3者共に「40-33」。一方的だったため、ここまで武居のパンチを警戒して積極性に欠いたアポリナルが、逆転を狙って勝負に出てきたが、堂々と迎え撃った。

「打ち合いはキックぽかった」

 ボクシング転向後、初めて味わう打ち合いも武居のテリトリー。

 右のフックでダメージを与え、狙い済ました右がヒット。王者がふらっとよろめき、動きが止まったところで松原レフェリーは試合をストップした。一発逆転しかなかったアポリナルは、明らかに不満の意志を示した。タイトル戦であることを考えると早すぎるストップにも思えたが、アポリナルの身の危険を鑑みると間違いではなかっただろう。

 リング上でマイクを持った武居は、「正直、K―1のベルトを返上してから、もう一回ボクシングでチャンピオンになれるか不安だったけど、みんなが背中を押してくれて、みんなで獲ったベルト。5ラウンドは、やっぱ長い(笑)。ここからもっともっと相手が強くなってくると思う。もっともっと強くなってかっこいいボクシングができるように頑張ります」と熱狂的なファンの声援に応えた。

 

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