堤聖也とノニト・ドネアが公式会見後に握手を交わす(写真・山口裕朗)
堤聖也とノニト・ドネアが公式会見後に握手を交わす(写真・山口裕朗)

堤聖也が井上尚弥とのドネア情報を巡ってのSNS騒動“真意”明かす

その上で決めた覚悟がある。
 先日、ドネアの公開練習を視察した石原雄太トレーナーが「2,3回倒れても後を全部取る」と明かした戦略だ。石原トレーナーは、両選手共に目の上にカットの古傷があり、切れて流血しやすいため、負傷判定となることを想定して「序盤からいかなきゃいけない」とも語っていた。
 その真意を本人に会見で質問した。
「戦っていれば、倒されることもある。そういうスポーツなので。シンプルに倒されても立ち上がって倒し返せばいい。どの試合もそういう考え。最後に僕が勝つために、しっかり戦えばいい」
 実際、2月の比嘉大吾戦では、9ラウンドにダウンを奪われたが、そのラウンドに逆にダウンを奪い返して劣勢を跳ね返してドロー防衛に持ち込んでいる。43歳のドネアの現状を把握するのは難しいが、往年のキレが健在であれば、比嘉のフックとはダメージは比較にならない。
 しかも、堤の右に対してドネアの伝家の宝刀は「ほぼ同時」(石原トレーナー)に放たれる。真剣で斬りあうような、やるか、やられるかの危険な勝負となる。
 それでも堤は、「(フックを)受けてしまうことを想定に入れておかないと、もらった時にパニクるでしょう。ドネアのパンチを8オンスでフルに受けられるなんてない。それも含めて楽しみますよ」とポジティブだった。
 会見ではドネアにこう呼びかけた。
「説明不要のレジェンド。この試合をクリアし、もうひと稼ぎとか、(ドネアは)色々と大きなものが得られる。ドネア選手のモチベーションは高い。強い状態でくると思って信じている」
 一方のドネアも「堤はリスペクトしているファイターの一人」とした上でこう返した。
「もうひと稼ぎ? それはすべてのボクサーの夢であり目標である。対戦して倒し、最強となり、人生をかけて戦い、そういったことで得るもの、トップにいくこと、それが稼ぐということ。それがすべてのボクサーの夢だ」
 この試合の勝者は、母親死去のショックで練習に取り組めず休養王者となったアントニオ・バルガス(米国)との統一戦が義務づけられている。ただ、その先にはWBC王者の拓真、大晦日にWBA世界同級挑戦者決定戦に挑む4階級制覇王者の井岡一翔(志成)、返り咲きを狙う武居、あるいは、拓真に敗れた天心と、バンタム級には、魅力的な対戦相手がズラリと並ぶ。
 堤は「ドネア戦の会見なので他のことは考えていない」と多くを語らなかったが、この試合の勝ち負けが未来を変えることは理解している。
 “ビンテージ”デニムのコレクターである堤は、世界戦後に販売する予定のオリジナルのTシャツを着ていた。そのイラストのキャラクターは世界ベルトを巻いていた。
「ベルトつけちゃっているんで負けちゃったら売り出せないんですよ」
 そう言って笑った。
 今日16日に前日計量が行われ、運命のゴングは明日だ。
(文責・本郷陽一、RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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