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桑原拓(左)がWBO世界フライ級王者のアンソニー・オラスクアガに挑む(写真・山口裕朗)
桑原拓(左)がWBO世界フライ級王者のアンソニー・オラスクアガに挑む(写真・山口裕朗)

12.17両国に奇跡を…井上尚弥が“陰の司令塔”としてスタンバイ…元WBA王者ユーリは桑原拓が挑むWBO世界戦の勝敗予想を「簡単にはと避けるも強豪王者に油断の兆候が

 プロボクシングのトリプル世界戦(17日・両国国技館)の公式会見が行われ、WBO世界フライ級王者のアンソニー・オラスクアガ(26、米国)と、2度目の世界好戦となる同級4位の桑原拓(30、大橋)がそれぞれ抱負を語った。アンダーカードでは、元WBA世界同級王者のユーリ阿久井政悟(29、倉敷守安)が再起戦を行うが、勝者への挑戦を見据えるユーリは、この試合の勝敗予想を聞かれ「簡単には予想できない展開になる」と明言を避けた。大手ブックメーカー「ウイリアムヒル」のオッズはオラスクアガ勝利が1.10倍で桑原は7倍となっている。

 

前WBA世界フライ級王者のユーリ阿久井(中)も再起戦のリングに立つ(写真・山口裕朗)

 すでに3度の防衛に成功している王者の余裕なのだろうか。
 桑原の印象を聞かれたオラスクアガは「凄く真剣な顔をしていますね」と答え、会場の笑いを誘った。真剣な顔をしているはずの桑原もつられて爆笑をしていた。
「こうしてベルトを目の前にしてさらに気持ちが高まった。試合が楽しみで仕方がない。王者の印象ですけど、表情的に調子よさそうやなと。会場でも試合を見たこともあるし、それも想定内。当日に向かい合ってどう感じるか。そこがカギ」
 こう話をした桑原は、昨年5月の東京ドームで、井上尚弥対ルイス・ネリ戦のアンダーカードで当時WBA世界フライ級王者のユーリに挑み大差の判定負けを喫した。再起後にアキレス腱を部分断裂するなどしたが、驚異的な速度で回復。12月18日のフェニックスバトルでノンタイトル戦が組まれていたが、本来挑戦予定だった飯村樹輝弥(角海老宝石)の脇腹の怪我で急遽、桑原に2度目の世界挑戦のチャンスが巡ってきた。
「前回の世界戦は、気持ちの面でも持っていき方に不安じゃないですけど、完璧ではなかった。練習も怪我があってそこまでマックスでできなかった。不安があった中での世界戦。でも、今回はすべてが完璧」
 ユーリ戦の前にはスパーで脇腹を痛めていた。
大橋秀行会長も「去年ドームで負けた経験を生かすこと、オラスクアガ選手は攻撃力が凄いが、それに負けない攻撃力で迎え撃つ試合。それが勝利につながるポイントだと思う」と期待を寄せた。
 公式会見にはアンダーカードで再起戦に挑む、そのユーリも出席した。3月にWBC王者の寺地拳四朗(BMB)との統一戦に臨み、終盤までリードしていたものの、最終回の12ラウンドに大逆転のTKO負けを喫してWBAのベルトを失った。
 だが、ユーリは再起を決意した。
「前回の試合から早くも9か月が経ったんですけど、いろんなことを考え、本当に良いトレーニングを積み、イチからボクシングの体を作り上げてきた。進化したバージョン3.3ぐらいのユーリ阿久井を見て欲しい」
 そして次なる目標を「この試合に勝たないといけないですが、この先、フライ級であれ、スーパーフライ級であれ、世界王者を目指して頑張っていきたい」と掲げた。スーパーフライ級は、ジェシー“バム”ロドリゲス(米国)が3団体を統一、残り一つのIBF王座に12月27日、サウジアラビアで行われる「The Ring V: Night of the Samurai」で拳四朗が挑む予定で、当面の間はユーリに挑戦機会はない。チャンスがあるならフライ級。桑原―オラスクアガ戦の勝者もターゲットのひとつに入る。

 

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