幻の全日本新人王MVP…“土佐のKOキング”市原涼が後楽園に降臨!
入門したのが2022年3月。そこから基礎練習を重ねているうちに、非凡なパンチ力に磨きがかかりはじめた。
先代からジムを引き継ぎ、来年で10周年となる小川会長は「始めは凄いものはなかった。基礎練習をずっとやった効果が出て、どんどん強くなっている。今では、今日のアップでもミットを吹き飛ばされるんです」と、その成長ぶりに驚いている。
たった4年で驚異的な進化を見せた。
黒潮ジムの練習生は40人ほどだが、プロが12人いて、ジム内でスパーリングができるのがプラス材料だという。
「パンチの強さ? わかんないっす。どこから来てんですかねえ。よく考えて、タイミングとキレのあるパンチを心掛けているからかも。打ったらすぐ引く。そして力を抜いて打つことを考えている」
理想のボクサーは、多分に漏れず、井上尚弥。
「ありきたりになるかもしれませんが、憧れの手本のボクシング。打たれずに打つボクシングが理想ですよ」
階級は同じスーパーバンタム級。
対戦の夢も「そんなあ…」の一言でかたずけ「いつかスパーリングパートナーとして呼んでもらえないかな」というのが、ささやかな夢。
来年5月の高知で開催予定の自主興行で市原がメインを飾る予定。
小川会長が「受けてくれる対戦相手を見つけられるかどうか…」と弱音を吐くと、市原が「言い訳でしょう(笑)。僕は結果残しているだけなんで。会長、相手を見つけて下さい」と、ハッパをかけた。
来年10月24日に24歳の誕生日を迎えるため、それまでに23歳以下が条件のユース王者に挑戦したい構想があるという。
連続KOの日本記録は、浜田剛史、比嘉大吾、渡部あきのりの3人が持つ15連続。
「無理ですよ。KOだけはされないぞというアウトボクサーに逃げられたら当てようがない」
すでに逃げを打ったがこうも言う。
「記録は続けなくていいけれど、KOは期待されていると思う。期待に応える面白い試合はしようと思っている。それがプロとしての役目。まだそんな余裕はないが、勝ち方にこだわっていきたい」
これが四国で2人目の新人王となった市原涼のささやかで大きいプロの矜持。もちろんディフェンス技術や、そもそも右を生かすための引き出しなども足りない。地方ジムでマッチメイクも簡単ではないだろうが、その非凡なバズーカは、誰もが得ようとしても得られないもの。彼の拳には希望と魅力が宿っている。

