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井上尚弥が5.6東京ドームのネリ戦に向けての練習を公開。サンドバック打ちを披露した(写真・山口裕朗)
井上尚弥が5.6東京ドームのネリ戦に向けての練習を公開。サンドバック打ちを披露した(写真・山口裕朗)

なんだお前!反省してなかった“悪童”ネリの「井上尚弥は自信過剰で過大評価されているだけ」「肉体が小さく平凡なボクサー」の挑発を2階級4団体王者が無視する理由とは?

 プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)が10日、5月6日に東京ドームで戦う元世界2階級制覇王者“悪童”ルイス・ネリ(29、メキシコ)戦に向けての練習を公開した。3月の来日会見では優等生だったネリは米メディアに言いたい放題。それを伝えられた井上は挑発には乗らずにビッグマッチへの決意とネリ戦略の一端を明かした。その理由とは?

 契約に再戦条項なし

 

 やっぱり始まった。悪童“ネリ”が米専門サイト「ボクシング・シーン」のインタビューに答え、言いたい放題。井上を挑発した。3月5日に来日して記者会見に出席した際には、謝罪から始まり、優等生ぶりを披露したが、それは猫をかぶった仮の姿だった。
「彼は過大評価されていると思う。肉体的には小さなファイターだ。他のファイターと同じような平凡なファイターだ。タパレス戦を見たが、彼はB級ファイター。たいしたことのないボクサーが10ラウンドも持ちこたえて井上を苦しめた。フルトンは井上のキャリアで最高の勝利かもしれないが、彼はそれほど多くのパンチを出さなかった。彼は怖がっていた」
 井上がスーパーバンタム級に転向してからのスティーブン・フルトン戦、マーロン・タパレス戦の2試合を酷評。さらに「オレは無敗でも王者でもない。勝とうが負けようが失うものはない。だが彼にはリスクがある。契約に再戦条項はない。それは彼が自信過剰だからだ。彼は楽勝だと思っているだろうが、サプライズがやってくる。彼らがこの戦いを受け入れたのは間違いだろう。彼らには得るものはない。名誉のためにやっているんだろうが、この戦いを受けたことを後悔するだろう」と、もし井上が負けた場合の保険となる再戦条項のない内幕まで明かして大放言である。
 看過できなかったのは、JBCに謝罪文を添えて無期限の活動停止処分の解除を求め、今回の試合を認めてもらったにもかかわらず「奴ら(JBC)はオレが井上と戦うと儲かると思って解禁したんだ」との発言。ネリは、2018年の山中慎介氏とのWBC世界バンタム級タイトルマッチで常識外の体重超過で計量失格となり王座を剥奪され、JBCから“永久追放”処分を受けていた。反省が嘘だったこを示すこの発言は、試合を管轄するローカルコミッションへの侮辱だ。
 だが、井上はこれらの発言を「そっちのネリが本物ですね」と冷静に受け止めた。
「(会見での優等生ぶりには)必ず試合を成立させいという強い思いを感じた」
 金儲けをしたかったのはネリの方だ。大橋会長は、この日、体重超過の前科のあるネリの計量失格に備えたリザーブファイトとして元IBF世界同級王者のT・J・ドヘニー(アイルランド)とブリル・バヨゴス(フィリピン)のスーパーバンタム級8回戦を第1試合に設定したことを発表した。 ネリが計量で1グラムでもオーバーしたら対戦相手はネリからドヘニーに切り替わる。
 だが、ネリは30日前の事前計量を10%プラスの規定を大きく下回る58.7キロでクリアしている。ネリの口撃再開は、体重調整の自信への裏返しに他ならない。ネリは「井上に勝ち、(元WBA、IBFと同級王者の)ムロジョン・アフマダリエフとの防衛戦を最後に引退する」とも語っているが、井上は「志が低いですね」と、やんわりとジャブ程度のパンチを返したに過ぎなかった。
 この日、31歳の誕生日を迎えた井上は、安っぽい挑発には乗らない。“レジェンド”の山中氏を侮辱するような発言をすれば許さない気持ちでいたが、自分に対する口撃なら相手にしない。

 

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