え?!FA桑原も安泰ではない?西武の西口監督が「レギュラーはネビンだけ」の刺激的な発言をした真意とは?
今オフに積極的な補強を進める西武の西口文也監督(53)が、来季の陣容に関して「レギュラーはネビンだけ」と、来日1年目で外野手登録ながら一塁手部門でゴールデングラブ賞とベストナインをダブル受賞したタイラー・ネビン(28)だけが安泰だと明言した。10年ぶりに参入したFA市場で、桑原将志外野手(32、前・横浜DeNA)に続いて石井一成内野手(31、前・日本ハム)と球団史上で初めて同じ年に2人を獲得。戦力アップに成功した中で就任1年目の5位からの巻き返しを期す来季へ、西口監督はなぜネビンだけを指名したのか。
FAで獲得した桑原も石井にもレギュラー保証はない?!
何度聞き直しても答えは変わらなかった。
「レギュラーはネビンだけですね」
来季の陣容に関してネビンの一塁手固定を明言した西口監督へ、球団が獲得へ向けて調査を進めている新外国人選手に絡めてこんな質問が飛んだ。
「ネビンをレフトで起用し、ファーストにさらに長打力のあるパワフルな新外国人選手を起用する構想はあるのでしょうか」
間髪入れずに「ないですね」と即答した指揮官は「FAで桑原と石井を獲得した状況でも、レギュラーはネビンだけなのでしょうか」とあらためて問われても「もちろんです。ネビンだけです」と返した。
西武がFA宣言した選手を獲得するのは、2015年オフに広島から加入した木村昇吾内野手(当時35)以来、実に10年ぶり。同じ年に2人を獲得するのは、球団史上で初めてとなる。即戦力を期待されるFA宣言選手を補強しながら、それでも西口監督が「レギュラーはネビンだけ」と繰り返し明言するのはなぜなのか。
答えのひとつにネビンが昨季を通して見せた堅実な一塁守備がある。
米カリフォルニア州サンディエゴ出身で、大谷翔平(31、ドジャース)が所属していたエンゼルスで監督を務めたフィル氏(54)を父に持つネビンは、昨季にアスレチックスから西武へ加入。外野手登録ながら出場137試合のうち121試合で一塁手としてプレーし、残る16試合はDHでの出場だった。
そして、オフには一塁手部門でゴールデングラブ賞を受賞する。外国人野手では両リーグを通じてただ一人の受賞者で、162票はパの野手部門で最多。西口監督も時間の経過とともに、ネビンへの信頼感がどんどん増してきたと振り返る。
「やはりあれだけの守備力があるので、安心できますよね」
今も指揮官の脳裏に焼きついているネビンのプレーがある。セ・リーグ首位の阪神と対峙した6月の交流戦の3戦目。8回表一死満塁の場面で、マウンド上の山田陽翔(21)とネビンが以心伝心のトリックプレーを成功させる。意表を突くけん制で一塁走者を刺してピンチを脱出し、最終的に西武は3連戦3連勝を果たした。
一塁走者の死角を突く形でベースに入ったネビンの動きは、春季キャンプから何度も繰り返しながら体に染み込ませたものであり、ゆえに一打逆転の緊迫する場面で完璧に成功させた。そうしたネビンの真摯な姿勢に西口監督は目を細める。
「山田が投げたトリックプレーでのけん制などは、普通の外国人選手だったらできなかったかもしれない。それでも、しっかりと対応してくれましたからね」
打順も開幕時の3番から4月後半以降は4番に定着し、5月には打率.292、4本塁打、17打点で月間MVPを獲得。最終的には141安打、打率.277、21本塁打、63打点、出塁率.346でチームトップの数字を残し、ベストナインにも輝いた。
さらに6月下旬には、当初の1年契約を2027年まで2年間延長した。シーズンが折り返す前に踏み切った、外国人選手に対しては異例とも言える契約延長を、広池浩司球団本部長(52)は球団ホームページ上で次のように説明している。

