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井上尚弥が民族衣装を身にまとまったピカソと約42秒のロングランのフェイスオフ(写真・山口裕朗)
井上尚弥が民族衣装を身にまとまったピカソと約42秒のロングランのフェイスオフ(写真・山口裕朗)

明日ゴング!「井上尚弥が本当の歴史を作るにはふさわしいライバルが必要だ」“口撃”で知られる英有名プロモーターがモンスターの“今後”へまさかの物言い?!

 業界では“口撃”やしたたかな駆け引き上手で知られるハーン氏は、過去に2人、プロモートしている選手を井上に葬られている。
 一人はWBA世界バンタム級王者のジェイミー・マクドネル(英国)。2018年の井上のバンタム初挑戦試合だったが、前日計量に1時間も遅れる失態をおかしたあげく1ラウンドに“秒殺”された。
 2人目は今年9月のWBA世界スーパーバンタム級暫定王者、ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)で、倒すことにこだわらず、勝負に徹したボクシングを見せて3-0判定で完勝した。
「私のファイター2人が井上に敗れた。彼は本当に素晴らしい選手だ。正直マクドネルについては勝てるという自信はそこまではなかった。だが、ムロジョンは本当に勝てると確信していた。だが、試合の前半で、本来のパフォーマンスを発揮できなかった。それは井上のクオリティを示す試合だった。パウンド・フォー・パウンドのトップ3に入るエキサイティングな選手だ」
 そう評価はしたものの、まだ名勝負に値するライバルと戦っていないというのだ。
 スーパーバンタム級の2団体王者だったスティーブン・フルトン(米国)、2階級制覇の“悪童”ルイス・ネリ(メキシコ)、そしてレジェンドの元5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)と名の通った実力者を倒してきたが、世界的な評価としてはまだモンスターの相手として物足りないというのである。
 では誰がいるのか。それが来年5月の中谷ではないのか。
 ハーン氏は、「もしかしたらバムか、フェザー級に上げて体格差のある世界王者たちと戦うことが、その道になるのかもしれない。井上が負けるとは考えられない。だが、フェザーの階級の壁にぶつかるかもしれない」と明かした。
 スーパーフライ級の3団体統一王者でパウンド・フォー・パウンドの3位に浮上した23戦無敗のジェシー“バム”ロドリゲス(米国)は、ハーン氏がプロモートする最終兵器だ。商売上手のハーン氏はそれを言いたかったのかもしれない。
「井上対バムは間違いなく世界でも最高峰のカードのひとつになると思う。パウンド・フォー・パウンドのランキングで見ても、あの2人はトップクラスの若いスターだ。特に“バム”は本当に若いが、まずはバンタム級に上げてから次のステージへ進む準備は整っている」
 だが、2人にはまだ2階級差があり、ハーン氏は、まずはIBF世界スーパーフライ級王者のウィリバルト・ガルシア(メキシコ)と寺地拳四朗(BMB)の勝者との4団体統一を「最優先」とする考えを明かしている。それを達成すれば「すぐにバンタム級でタイトル戦を戦うことが非常に重要」とハーン氏。井上戦が実現するまでフランク・スミスCEが「1年から1年半後」と言っていたが、ドリームマッチの実現まではそれくらいの期間は必要だろう。
 井上はリング誌のインタビューで「階級を上げてくるのを待つ気はない」とも語っており、そうなるとフェザー級への挑戦が先になるのかもしれない。
 だが、ライバル不在は井上に何の責任もない話。ライバル不在でも井上は自らの戦いですでに「本当の歴史」を作りつつある。そして2日後のピカソ戦でまたサウジに新たな歴史を刻むつもりである。

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