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1m79の長身サウスポーの下町(右)がリーチを生かしたボクシングを徹底し日本スーパーバンタム級王座を獲得した(写真・山口裕朗)
1m79の長身サウスポーの下町(右)がリーチを生かしたボクシングを徹底し日本スーパーバンタム級王座を獲得した(写真・山口裕朗)

ベルトを死守して那須川天心を迎え撃つ?!1m79の長身サウスポーの下町俊貴が大差判定勝利で日本スーパーバンタム級王座を獲得

 

プロボクシングの日本スーパーバンタム級王座決定戦が29日、後楽園ホールで行われ、同級2位の下町俊貴(26、グリーンツダ)が同級5位の大湾硫斗(25、志成)を大差の3-0判定で下して初タイトルを手にした。次戦は同級1位の石井渡士也(22、RE:BOOT)との指名試合となるが、ボクシングデビューした那須川天心(24、帝拳)が、来年に狙うベルトのひとつだけに陣営では、王座を守り続けて迎え撃ちたいとの構想を抱く。またWBOアジア・パシフィック同級王座戦も行われ、王者の中嶋一輝(30、大橋)が、元IBF世界同級王者のTJ・ドヘニー(36、アイルランド)に4回2分32秒TKO負けして初防衛に失敗。
「相手が強かった」と完敗を認めた中嶋は、今後の進退については「考えます」と保留した。

 接近戦を避けて距離をキープする作戦を徹底

 

 試合終了を告げるゴングが鳴ると本石昌也会長はガッツポーズをしてエプロンに駆け上がったが、戦った下町は喜びを表現しなかった。
「どうなんかなと。ガードの上から結構パンチももらったし、敵地なんで見た目はどうなんかと不安はあった。でも、陣営は勝ったっぽい雰囲気だったので大丈夫かなと」
 どう見ても下町のほぼワンサイドファイトだったが、複雑な心境で判定結果を待ったという。
 1人が97-93、2人が98―93。「ニューチャンピオン…」と自分の名前をリングアナのコールされて初めて下町の表情が緩んだ。
 1m79の長身サウスポーの利点を最大限に生かした“下町ワールド”を展開した。ジャブでプレスをかけて遠い距離からワンツーを叩きこみ、大湾が強引に突っ込んでくるとガードでブロック。特に打ち終わりに必ず頭を下げてローリングして一発で仕留める威力を持つ大湾のパンチを何度も空転させた。
「めちゃくちゃ大湾選手がパンチも強くて怖かった。もらわない距離を意識してキープした」
 ステップワークで動きながらポイントアウトする戦法は使わなかった。
「思ったより速かったので反応で避けるのはしんどい。ガードを固めてしのいだ。耐えるしかないと」
 逆に大湾が中央に位置する下町を回るという逆の展開。5ラウンドが終わっての公開採点は、49-47が1人、49-46が2人とリードした。
 陣営からは「ガードしろ!」の声が絶えまなく飛ぶ。
 接近戦も避けた。
「体がぶつかりあったときに強かった。接近戦では飲み込まれる。無理に打つのはやめよう」
 タイトルは初挑戦だが、したたかにラウンドを進めた。
 2017年に全日本新人王のMVPを獲得し、2019年には日本スーパーバンタム級ユース王座、昨年は、WBO世界スーパーバンタム級王者でビッグネームのエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)に挑戦したことのある実力者のジョー・サンティシマ(フィリピン)に判定勝利を収めて世界ランク入りするなど着実に重ねた19戦のキャリアを生かす。
「僕の足の使い方だと、逃げて見えるんでね。ごまかしながら、出ることこは出て、ジャブで攻めているところを印象づけ、お尻を引きながらのワンツーを打った(笑)。効いてはいなかったでしょう」
 8-2くらいの割合で意識は、常にディフェンスに置き、リスクヘッジしながら、大湾が止まると、ショートのコンビネーションブローや、ワンツーを打ち込んで確実にポイントを稼いだ。

 朝起きてヤフーのライン占いをチェックした。
「自分が9位で大湾選手が1位。やられると思った」
 そう明かして会場を沸かせたが、占いのおかげもあって、より注意深く慎重に試合に入り、最後まで集中力を切らさなかったのかもしれない。

 

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