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判定勝利した中谷潤人の腫れた右目が痛々しい(写真・山口裕朗)
判定勝利した中谷潤人の腫れた右目が痛々しい(写真・山口裕朗)

「(井上尚弥)と戦えないのなら寂しい」中谷潤人が“階級の壁”にぶつかってモンスターのスパー相手をクビになったメキシカンにまさかの大苦戦で薄氷判定勝利

 だが、明らかに“階級の壁”にぶつかった。本来ならダウンを奪えるはずのアッパーや左フックのカウンターでもヘルナンデスは平気な顔をしていた。
「バンタム級なら倒していたタイミングはいくつかあった。この階級で戦ってみて、耐久力とかを感じながら戦っていた。そのへん(階級の壁)を思われるのは仕方がない。ただ戦い方で対応はできる。これを糧にスーパーバンタム級に絶対アジャストして、これからの成長につなげていきたい」
 中谷はそう前を向いた。
 前日計量の後に井上が「中谷戦か、5階級制覇か。どっちに転ぶかわからない、とここにきて言われている。5月は不透明」と爆弾発言をした。
 来年5月に東京ドームで井上へ挑むことをモチベーションにしていた中谷にとってはショッキングな発言だった。
 井上は「(今回の試合の)結果次第で」とも口にしていた。
 勝つには勝ったが、内容は、とても来年5月の井上戦への夢と希望が広がるものとは程遠かった。
 中谷はその発言を受けてこう答えた。
「そういう話は入ってきてはいますけど、僕自身はパウンド・フォー・パウンドでナンバーワンになる。この階級で世界チャンピオンになる、という目標で階級を上げてきているので、井上選手と戦えないとなったら寂しさはありますけど、その目標は、ぶらざすにやっていきたいと思っています」
 井上と戦えないのなら寂しいーー。
 その悲痛の叫びが聞こえていたかのように、その数分後に会見場に座った井上は、SNSを騒がせた「中谷か、フェザー級か」の問題に、こう結論を出した。
「そういった話(フェザー級挑戦)もありましたが、今日お互いが勝ってそりゃもうやりましょうよ、と。(大橋)会長にも(言った)」
 来年5月の東京ドームの挑戦者に中谷を指名したのだ。
 中谷は内心ホッとしているだろう。
 こちらも判定決着となった井上―ピカソ戦の感想をリング誌の記者に聞かれた。
「タイミングをとったり、合わせてくるパンチは鋭いなと感じながら見ていた。ピカソ選手は凄く勇敢に戦っていたという印象を持っている」
 井上もピカソを倒すことができなかったが、今日の出来であれば、“階級の壁”にぶつかった中谷は、とてもじゃないが井上には勝てない。  
 だが、リング誌の記者の井上にどうすれば勝てるか?の質問に中谷はこうも言った。
「12ランドを戦って、タフな選手にこの階級を経験した。キャリアの糧になるこれが本当のリアルだと感じている。どう成長につなげるか。燃えたぎったものがあるので期待してもらえれば」
サウジから2人の来年5月への戦いが始まっている。

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