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有馬を制したのは3番人気のミュージアムマイルだった(写真:スポーツ報知/アフロ)
有馬を制したのは3番人気のミュージアムマイルだった(写真:スポーツ報知/アフロ)

なぜ有馬記念は荒れたのか…勝ったのはミュージアムマイル…4着に沈んだレガレイラ“包囲網”はあったのか?

 1番人気のレガレイラはミュージアムマイルをマークする形でレースを進めた。しかし、行きっぷりが悪く、一時はジャスティンパレスにもかぶせられて最後方へ。その後盛り返し、4コーナーで好位にとりついたところでミュージアムマイルとダノンデサイルに蓋をされた。その後は内に進路を取ったが、伸びきれず4着となった。
 牝馬初の連覇は幻となり、レース後のクリストフ・ルメール騎手は神妙な表情で「ずっと勝ち馬の後ろにいましたが、少し掛かりました。馬場が緩くて反応が鈍く、エンジンがかかるまで時間がかかってしまった」と振り返った。
 レガレイラ陣営には目には見えない重圧があったかもしれない。同じ木村哲也厩舎所属で出走態勢にないヘデントールを有馬記念に特別登録したことで、健気な走りでファンに人気のあったライラックの出走がかなわなかった。逆にアシストを受ける形になったのが、ヘデントールと同じ木村厩舎に所属するスティンガーグラス。非難の声が上がったことで、スティンガーグラスは出馬しなかったが、レガレイラがファンの恨みを買い、SNSでは「あの馬に勝たせるな」との投稿が多く見られた。
 レガレイラはファン投票では史上最多61万票超えの支持を集めて1番人気で出走。マークが厳しくなるのは当然だった。
 木村哲也調教師は「期待に応えられず、応援していただいたファンのみなさまにおわび申し上げます」と頭を下げ、状態については「エリザベス女王杯の時に近いぐらいのコンディションで送り出せたと思っています。課題のゲートも我慢してくれていました。ただ、やわらかめの馬場にちょっと脚を取られるような感じがありました。それでも頑張ってくれ、進路ひとつで着順の変化はあったんじゃないかと思います」と振り返った。
 レースは大一番にふさわしく見応え十分だった。波乱を演出したコスモキュランダは横山武史騎手らしい思い切りの良さで先行策から勝ち負けの場面を作っての2着。引き上げてきた鞍上は「120点、いや、勝てなかったので100点の競馬です」と苦笑い。「かつてのメジロパーマーのように、前でやり合って後ろを離す競馬を考えていました。本当に具合が良く、自信を持って乗りました。勝ち馬は強かったですが、この馬は十分すぎるほど頑張ってくれました」と健闘をたたえた。
 競馬の世界では初ブリンカーの効果はときに絶大なものがあるが、今回はまさにそれ。好発を決めると2、3番手につけ、見違えるような行きっぷりだった。近走が不振だったとはいえ、3歳時には弥生賞を勝ち、皐月賞で2着に入るなど中山への適性は高く、有馬記念で穴をあけるのはこの手のタイプと今後の教訓にしたい。
 中団から末脚を伸ばしたダノンデサイルは逃げた昨年に続き今年も3着と自在性を証明。戸崎圭太騎手は「リラックスして走っていたし、前が流れていたのでじっとしていた。4コーナーで右にもたれたのが痛かった」と勝ち馬に切れ負けした要因を挙げ、悔しがった。
 新旧交代を告げる形となった今年の有馬記念。その裏で昨年の女王には競馬の厳しさを感じさせるものとなった。

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