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中谷潤人は薄氷勝利も「118-110」採点が物議(Matchroom Boxing/Mark Robinson)
中谷潤人は薄氷勝利も「118-110」採点が物議(Matchroom Boxing/Mark Robinson)

「中谷潤人の118-110は胸クソが悪くなる採点だ」サウジ興行主催者の一人である英大物プロモーターが苦言…「私の採点は僅差でヘルナンデスの勝利」

 サウジアラビアで開催された「The Ring V: Night of the Samurai」は来年5月に東京ドームで激突するスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(32、大橋)と同級のテストマッチを行った中谷潤人(27、M.T)が共に判定勝利を飾ったものの、その内容が明暗を分けた。大会主催者に名を連ねた「マッチルーム社」のエディ・ハーンCEO(45)は自らの採点が僅差でセバスチャン・ヘルナンデス(25、メキシコ)の勝利だったと明かし「118-110」で中谷を支持したジャッジを「胸クソの悪くなる採点」とぶった斬った。

 

問題のジャッジペーパー

 

 ヘルナンデスは「気にしていない」と潔く

 日本が誇るモンスターとビッグバンが競演したサウジの大型興行は明暗を分けた。井上は防御一辺倒のアラン・ピカソ(メキシコ)を倒すことはできなかったものの一人がフルマークをつける完璧な試合内容で、ほぼ被弾はなく綺麗な顔をしていた。
 だが、中谷はバッティングとパンチで右目が大きく腫れて、翌日に現地で予定されていた一夜明け会見をキャンセルするほどのダメージを負った。判定は英国人ジャッジの2人が115-113とつけたが、サウジアラビアのジャッジが118-110と中谷の大差判定勝利を支持したことが波紋を広げた。
 今大会の運営を任され、公式会見では、自らMCまで務めた“モノ言う”プロモーターとして知られるハーン氏も黙ってはいなかった。
 リング誌の公式Youtubeが、試合後のミックスゾーンでのインタビューをこう伝えた。
「もの凄く接戦だった。自分の採点は僅差でヘルナンデスに付けた。6ラウンド以降、ヘルナンデスは、ほとんどのラウンドを落としていないと思う。10回だったか、9回だったか……ちょっと覚えてないけどね」
 そしてこう続けた。
「確かに中谷は前半を支配していた。でもね。118―110という採点を見ると正直、胸クソが悪くなる。あんなスコアになる試合じゃない。115―113なら、どちらの勝ちでも妥当なカスコアードだ。メキシコの選手(ヘルナンデス)は本当に素晴らしかった。スロースタートだったけど、途中から一気に良くなった。素晴らしい試合だった」
 中谷は立ち上がりから強烈な左ストレート、左フックを炸裂させた。スピード差は顕著だったが、そこでダメージを与えることができずに4ラウンドからスロースターターのヘルナンデスにエンジンがかかり始めた。前へ出て距離を詰め、ひたすら上下にパンチを出し続けた。
 中谷はその前進と手数に悩まされた。
 足を使ってサイドからのボディやアッパーの攻撃を仕掛けたが、それが通じないとみるや、頭をつけてインファイトに応じた。アッパーを連発させたがヘルナンデスの前進は止められない。終盤は距離を作ってワンツーを叩き込む戦法に変えてもみたが、それでも勝負を決めきれない。根負けした中谷がロープを背にしたポジションから移動できずクリンチに逃げる珍しいシーンまであった。  
 中谷の自己採点は、「すごくタフだった。1ラウンド、1ラウンド、しっかりと対応していくことにフォーカスしていたので採点を気にせず、この選手に勝つ強い気持ちで向き合った」というもの。それでも陣営はポイントを計算していたのだろう。

 

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