箱根駅伝“サプライズ無き区間エントリー”から見えてきたレース展望…エース黒田が流れを作る青学大が優勢で追う駒大…國學院大、早大、中央大が波乱演出候補?!
では他の5強はどうか。悲願の初優勝を目指す國學院大は2区に主将・上原琉翔(4年)、4区に辻原輝(3年)を登録。そして5区に高石樹、9区に野田顕臣と主要区間に1年生を入れてきた。補欠登録された青木瑠郁(4年)、高山豪起(4年)、野中恒亨(3年)はポイント区間に投入されるだろう。青木は1区もしくは7区、高山は8区、野中は3区か。5区が読めない分、全日本3区で留学生を抑えて区間賞を獲得した野中の区間でトップに立ちたいところだ。
早大は2区に山口智規(4年)、3区に山口竣平(2年)、5区に工藤慎作(3年)と3人を前回と同じ区間に登録した。そして1区は3年連続で同区間(前回4位)を担ってきた間瀬田純平(4年)が入るのか。スーパールーキー鈴木琉胤も補欠登録だが、順当なら4区に起用されるはずだ。主将・山口と「山の名探偵」と呼ばれる工藤は今季充実している。ともに過去最高の走りを見せてくれるだろう。復路の戦力を考えると総合優勝は難しいかもしれないが、往路Vの期待は高まっている。
中大は前回2区9位の溜池一太(4年)と同3区1位の本間颯(3年)を同じ区間に登録した。5区に全日本4区で区間賞を獲得した柴田大地(3年)、10区に100000m27分台の濵口大和(1年)を入れている。一方、前回1区を独走した吉居駿恭(4年)、10000m27分40秒50の藤田大智(3年)、出雲1区区間賞の岡田開成(2年)は補欠登録となった。藤原正和駅伝監督は復路での〝逆転劇〟をイメージしているようで、今回は主将・吉居を7区に起用することも十分に考えられる。登録選手上位10人の10000m平均タイムで史上初の27分台に到達した中大。勝てば30年ぶり15回目の総合優勝だ。
5強以外では城西大、創価大、帝京大に上位進出のチャンスがある。城西大は5区の斎藤将也(4年)、創価大は6区の小池莉希(3年)に注目したい。ともに区間新記録を狙えるポテンシャルを持っているからだ。そして帝京大は全日本2区で区間賞を獲得した楠岡由浩(3年)を2区に登録。自信のある復路(前回4位)でどこまで順位を上げることができるのか。
今回の区間エントリーで大きなサプライズはなかったが、本番では〝奇襲〟を仕掛けてくるチームがあるかもしれない。指揮官たちの眠れない日々は続く。
(文責・酒井政人/スポーツライター)

