なぜ箱根駅伝往路V青学大の黒田朝日が“シン・山の神”を11年ぶりに襲名できたのか…他チーム監督が警戒していた起用法と“3代目”神野大地が語っていた予感
第102回箱根駅伝の往路が2日、東京大手町スタート~神奈川箱根町芦ノ湖ゴールの5区間、107.5キロコースで行われ、青学大のエースである黒田朝日(4年)が、まさかの5区抜擢を受け、1時間7分16秒の区間新記録を更新する激走で、青学大が3年連続8度目の往路優勝を飾った。なぜ原晋監督(58)は黒田を5区の山に起用し、2015年の神野大地以来、久しく出現していなかった第4代目“山の神”が誕生したのか。
2017年に5区が約2.5㎞短縮され「山の神」誕生が困難に
山に〝特別なヒーロー〟がいた。青学大の絶対エース・黒田(4年)だ。過去2大会は花の2区を任されて、前々回は区間歴代4位(当時)の1時間6分07秒で区間賞、前回は2区で1時間5分44秒(区間3位)の区間新。いずれも7人抜きを演じて、チームに勢いをもたらしている。
今季は出雲駅伝の6区で区間賞、全日本大学駅伝は7区で区間賞・区間新。MARCH対抗戦10000mで青学大記録の27分37秒62でトップを飾ったエースは補欠登録となり、何区に起用されるのか注目を浴びていた。
チームエントリーがあった12月10日の『トークバトル』でも黒田の区間が話題になった。駒大・藤田敦史監督は、「黒田朝日は何区?」と青学大・原晋監督に直球の質問を行ったほどだ。
そのとき原監督は「朝日は早い段階で昇りますよね」と3年連続となる2区の起用をほのめかしていた。
筆者が藤田監督に「黒田選手は2区と5区。どちらが嫌ですか?」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「2区は極端な話、区間記録(1時間5分31秒)で走られても、1時間6分台前半でカバーできれば1分も開きません。でも5区を1時間8分台で走られたら大差をつけられるので、各大学、5区に来た方が嫌だと思いますね」
前回大会のデータでいえば、もし黒田が2区を区間記録(1時間5分31秒)で走ったとすると、前回の区間10位は1時間6分55秒。その差は1分24秒ほどとなる。一方で5区(区間記録は1時間9分11秒)を1時間8分台で走破できれば、前回の区間10位(1時間12分18秒)と3分18秒以上の大差になる計算だ。
しかし、実際の黒田は指揮官たちの〝想定以上〟だった。
区間新記録が誕生した1区は青学大の小河原陽琉(2年)がトップの國學院大と1分19秒差(16位)という苦しいスタートになった。5人の留学生が参戦した2区は飯田翔大(2年)が区間10位でカバーすると、3区の宇田川瞬矢(4年)で8位に浮上。4区の平松享祐(3年)が区間3位と好走して、5位まで順位を押し上げる。トップの中大と3分24秒、2位の早大とは2分12秒というタイム差でフレッシュグリーンのタスキが絶対エースに託された。
「3分30秒差ならなんとかしてくれるでしょう」と原監督は話していたが、アニメのような〝大逆劇〟が箱根山中で待っていた。
黒田は「良くて3位くらいかな」と感じていたが、「とにかく前にいくしかない」と攻め続けた。
ほぼ同時にスタートした城西大・斎藤将也(4年)を序盤で引き離すと、9.7㎞付近で國學院大を抜いて3位に浮上。小涌園前(11.7㎞)は区間記録を1分上回るペースで通過した。

