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出雲駅伝、全日本駅伝と勝ってきた大本命の駒大をストップできる大学はあるのか?(写真は出雲駅伝:SportsPressJP/アフロ)
出雲駅伝、全日本駅伝と勝ってきた大本命の駒大をストップできる大学はあるのか?(写真は出雲駅伝:SportsPressJP/アフロ)

箱根駅伝で2年連続「駅伝3冠」を狙う駒大に死角はあるのか…「区間エントリー」から“勝負のポ イント”を読み解く

 年明けの1月2日、3日に開催される第100回箱根駅伝の「区間エントリー」が12月29日に行われた。往路・復路ともにスタート時間の1時間10分前に当日変更(1日最大4名、全6名)が可能で、区間登録選手同士の変更はできない。まだまだベールに隠されている部分が少なくないとはいえ、各校の戦略がおぼろげながら見えてきた。第100回大会はどんなレースになるのか。総合優勝を目指す〝4強〟の戦いをシミュレーションしてみた。

 駒大の勝ちパターンは3区佐藤でトップに立ち、4区のエース篠原でリードを拡大

 

 まずは今季の出雲と全日本を完勝して、2年連続の「駅伝3冠」に王手をかけている王者・駒大から検証してみる。
 以下が29日のエントリーだ。
【駒大】1区白鳥哲汰(4年)、2区鈴木芽吹(4年)、3区佐藤圭汰(2年)、4区
小山翔也(1年)、5区金子伊吹(4年)、6区帰山侑大(2年)、7区赤津勇進(4
年)、8区赤星雄斗(4年)、9区花尾恭輔(4年)、10区吉本真啓(3年) 補欠:
安原太陽(4年)、小牧波亜斗(3年)、篠原倖太朗(3年)、庭瀬俊輝(3年)、伊藤蒼唯(2年)、山川拓馬(2年)

 11月25日の八王子ロングディスタンス10000mで日本人学生歴代2位の27分28秒50をマークした佐藤圭汰、同3位(27分30秒69)の鈴木芽吹、同5位(27分38秒66)の篠原倖太朗。この3人の区間が注目されていたが、1区で〝大逃げ宣言〟をしていた佐藤は3区に入った。そして2区は主将・鈴木。篠原は補欠登録だった。
 順当なら5区の“山”は前回活躍した山川拓馬(5区4位)と伊藤蒼唯(6区1位)の起用が濃厚。篠原は4区に投入される可能性が高く、前回7区を担った安原太陽も出場すると予想する。なお前回は当日変更で4名(3、5、6、8区)を交代している。駒大は出雲と全日本は「2区佐藤」という超強力カードで一気にリードを広げて、悠々と逃げ切っている。今回も同じようなレース展開に持ち込みたい。佐藤は前回も3区を予定していて、「日本人最高記録」を目指していた。20㎞以上のレースは初めてになるが、持ち味のスピードで箱根路も突っ走るだろう。
 3区佐藤でトップに立ち、ハーフマラソンで日本人学生最高記録を持つ4区篠原でリードを拡大。これが駒大の勝ちパターンだ。また篠原は1区の起用も考えられる。その場合は3区佐藤で後続を突き放すかたちになるだろう。いずれにしても1~2区で大きく遅れない限り、駒大の連覇は濃厚だと見る。

 では、ライバル校はどう戦うのか。前回、駒大と競り合った中大は前回と同じようなオーダーを組んできた。

【中大】1区溜池一太(2年)、2区吉居大和(4年)、3区中野翔太(4年)、4区
伊東夢翔(2年)、5区山崎草太(1年)、6区浦田優斗(3年)、7区本間楓(1年
)、8区阿部陽樹(3年)、9区山平怜央(3年)、10区柴田大地(1年) 補欠:園
木大斗(4年)、湯浅仁(4年)、白川陽大(2年)、吉居駿恭(2年)、吉中祐太(2年)、佐藤蓮(1年)。

 1~3区は前回と同じ顔ぶれで、4区は5000mで現役日本人学生最高の13分22秒01を持つ吉居駿恭(前回は4区5位)、もしくは全日本7区で区間2位と好走した主将・湯浅仁(前回は9区6位)の起用が濃厚だ。
 前回は1区溜池がトップと18秒差の4位でスタートすると、2区吉居大和は区間歴代8位の1時間6分22秒で走破。3区中野も〝連続区間賞〟でトップを駆け抜けた。それでも駒大から奪ったリードはわずか10秒だった。山区間の戦力は駒大より落ちるため、前回以上に大胆な〝先制攻撃〟が必要になるだろう。
 藤原正和駅伝監督も「何かやらないと、(駒大に)変化は起きません。前半でしっかりと背中を見せたい」と話していた。駒大を自力で振り落とすには、絶対エースの〝爆発力〟を生かしすしかない。
 2区吉居大和は「自分は前半突っ込むタイプなので、1時間05分30秒を切るような勢いで行けたらいいなと思っています」と区間記録(1時間05分49秒)を上回る超高速レースに持ち込むつもりだ。
 吉居が駒大を追いかける展開になると、鈴木にピタリとつけられてしまう。そうさせないためには、数秒でも1区が駒大より先にタスキをつなぐことがポイントになるだろう。そして2区吉居でリードを広げて、3区中野と4区で再攻撃を仕掛けていきたい。
 中野がロングレースの経験がない佐藤のリズムを狂わすことができれば、絶対王者・駒大に〝綻び〟が出てくる可能性がある。28年ぶりの総合優勝に向けて、中大は前半区間で勝負していく。

 

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