なぜJ3福島は昨季JFLでシュート1本無得点の“58歳”三浦知良を獲得したのか…「準備、メンタル、勝敗を分ける局面での判断力がクラブの成長を促す重要なプロフェッショナリズム」
Jリーグの舞台でプレーするのは、横浜FCの一員としてJ1リーグ戦1試合を含めて公式戦4試合に出場した2021シーズン以来、実に5年ぶりとなる。そしてJリーグで決めたゴールは横浜FCがJ2だった2017シーズンの第4節、50歳になった直後の3月12日に行われたザスパクサツ群馬戦が現時点で最後になっている。
それでもカズを獲得した福島の狙いはどこにあるのか。答えは会見に同席した小山淳代表取締役CEO(49)のキャリアと密接に関係している。
静岡県藤枝市で生まれ育った小山CEOは、藤枝中学時代には年代別の日本代表に名を連ね、3年次には中田英寿らとともに韓国遠征にも参加した。しかし、藤枝東高校を経て進学した早稲田大学で左足首に重傷を負い現役続行を断念した。
そして、サッカーに夢中になっているときに憧れたのがカズだった。
「カズさんは言うまでもなく、日本サッカーの象徴であり、今も挑戦すること、継続することに加えて夢を語り、追い続ける価値を背中で示し続けている存在です。私個人としては同じ静岡県出身でより親近感がありましたし、カズさんのブラジル時代やJリーグの開幕時、あるいはセリエAでプレーしている姿を見ながら、日本サッカーの未来を作っている方だと思ってその背中を追っていました」
そしてIT業界へ転身し、藤枝MYFCを皮切りにクラブ経営に携わる立場になってからは、カズへ抱く憧憬の思いに大きな変化が生じた。
「経営に携わったすべてのチームでカズさんにプレーして欲しいと思ってきましたし、実際におこしやす京都AC(関西サッカーリーグ2部)というクラブにいた3年前にはオファーを出させていただきました」
カズとの交渉の席にも着いたこのときは合意には至らなかった。しかし、2024年に福島の代表取締役CEOに就任し、川崎フロンターレ出身の寺田周平監督(50)のもとでJ3の中で屈指の攻撃力を誇るチームへと成長。J2への初昇格をうかがえるベースが整ったと判断するとともに、満を持して再びカズへオファーを出した。
「J2昇格をつかむためには拮抗した試合を勝ち切る力、勝負のあやとなる流れを切り開き、あるいは耐え抜く経験値、さらに勝利を引き寄せるための基準を向上させる存在が必要だと考えています。カズさんが長年にわたり第一線で培ってきた試合への準備、コンディショニング、メンタリティー、勝敗を分ける局面での判断力が、現在の福島ユナイテッドの成長を大いに促す重要なプロフェッショナリズムだと考えました」

