「悔しい。心から(銀メダルの)自分を祝福できない」なぜ二階堂は金メダルが見えていた2回目のジャンプを“しくじった”のか?
ミラノ・コルティナ五輪のジャンプ男子個人ラージヒルが14日(日本時間15)、プレダッツォ・ジャンプ競技場で行われ、二階堂蓮(24、日本ビール)が1本目140m、2本目136.5mにまとめて銀メダルを獲得した。個人ノーマルヒル、混合団体の銅メダルに続く3つ目のメダル。金メダルは2本目に141.5mを跳んだ世界ランキング1位のドメン・プレブツ(26、スロベニア)で小林陵侑(29、チームROY)は6位に終わった。二階堂は16日(日本時間17日)の新種目スーパーチームに小林と共に出場予定で4つ目のメダルに挑む。
1回目の140mのビッグフライト
銀メダルにも悔し涙があふれた。
「悔しーい。悔しいっす」
手の届くところにあった金メダルを逃した悔しさだ。
「絶対にドメン(プレブツ)も2本揃えてくるのがわかっていたんで2本目に失敗しちゃって…うまくいけばというのがどうしても頭をよぎってしまうのが悔しい」
1回目にランディングゾーンを埋めるファンから大歓声が起きるビッグフライトを見せた。トップに立つ目安のトゥビートが136.5mと表示される中で140mをマーク。テレマークも決めて、飛型点に19.0点×3の評価をもらい、154.0点の高得点をたたき出してトップに立った。
2回目は最終ジャンパーをして迎えた。
だが、一人前の世界ランキング1位のプレブツが141.5mの大ジャンプを決めたのだ。トゥビートは140.5mと表示された。
心理的プレッシャーがかかったのか。
二階堂の2回目は136.5mに留まった。着地した瞬間に「もしかしたらまた銅メダルじゃないか」と思ったという。
プレブツにわずか6.8点及ばなかった。
ジャンプ競技を長年取材しているスポーツライターの岩瀬孝文氏は2回目のミスをこう分析した。
「スタートの時点で緊張で身体が固くなっていました。そのまま出て、助走路の動きも固くて鈍くなっています。サッツも同様の流れで、パワーを伝えきれず飛び出し、飛距離の伸びに欠けました。もう少し笑顔を見せるくらい肩の力を抜いて飛んでいきたかったところですね。いつものポジティブで攻めの感覚が少々失せていたような印象です。対照的にプレブツの集中力と強さはさすがでした」
初の五輪。そしてつかみかけていた金メダルのプレッシャー。二階堂は、通常のメンタルを保つことができていなかったのかもしれない。
それでもノーマルヒル、混合団体の銅に続く3つ目のメダルで、しかも、順位をひとつ上げた銀メダルだ。
「でもしっかりと銀メダル獲得できたので、失敗したジャンプもありましたが、うん…合格なんじゃないですかね」
そう自分を納得させた。
女子個人ノーマルヒルの丸山希の銅メダルから始まって、ここまでジャンプの全種目でメダルを獲得した。
日本のジャンプ王国復活と呼んでいいのか。
だが、前出の岩瀬氏は「それはまだ早いと思います」との厳しい意見だ。
「やはり金メダルが欲しいのと、チーム力の底上げ、中、高校生のジュニア世代の育成を継続的に行わなければいけません。その先にリアルな金メダルが待っています。船木和喜の金メダル2個の偉大さには、まだ届いていないです」
1998年の長野五輪では、団体で金、船木は個人ラージヒルでも金メダルを獲得した。以降金メダルは、2022年の北京五輪での小林のノーマヒルだけ。ジャンプ王国を名乗るには金メダルが欲しい。
残るは女子のラージヒルと、男子の2選手がタッグを組んでラージヒルで争う新種目のスーパーチームの2種目だけ。

