なぜ天心は「連敗すれば自分の限界」の覚悟で”レジェンド“エストラーダとの挑戦者決定戦に挑むのか…危険な賭けか、井上拓真との再戦切符か…井岡一翔戦の結果待ちで「物語がなくなる」願いも
プロボクシングのWBC世界バンタム級2位の那須川天心(27、帝拳)が4月11日、両国国技館で元2階級制覇王者で同級1位のファン・フランシスコ・エストラーダ(35、メキシコ)とWBC世界バンタム級挑戦者決定戦を行うことが25日、発表された。天心は「もし連敗するようなことがあったら自分の限界。何が何でも勝つ。蹴ってでも」との悲壮な決意を明かした。勝てば同級王者、井上拓真(30、大橋)との再戦への挑戦権を得るが、リスクのある強敵だ。またアンダカードとして前WBA世界ライトフライ級王者高見亨介(23、帝拳)対前IBF世界フライ級王者アンヘル・アヤラ(25、メキシコ)のフライ級10回戦、WBC世界スーパーフライ級1位坪井智也(29、帝拳)対元WBC世界ライトフライ級王者ペドロ・ゲバラ(36、メキシコ)のス―パーフライ級10回戦も行われる。
「逃げているようじゃ自分の人生を否定することになる」
危険な賭けだ。
昨年11月24日にWBC世界バンタム級王座決定戦で井上拓真に判定負けして以来となる天心の再起戦は、メキシコのレジェンドとの挑戦者決定戦となった。
「強い相手とやらせて欲しいと思っていた。ジムの意気込み、僕の意気込みがわかる試合になるんじゃないか。復帰戦でやる相手じゃないと思うかもしれないが、強い奴に勝ってこその格闘技、乗り越えるのが自分だと思う。自分を信じてもらえればうれしい」
天心は「純粋な気持ち」を表す、真っ白ないで立ちに、視力1.5の目に”ダテ”メガネをかけて会見に現れた。
49戦45勝(28KO)4敗のキャリアを誇るトータルファイターでフライ級時代には、WBAとWBOの2団体を統一し、スーパーフライ級ではWBCとWBAタイトルを統一したエストラーダとの戦いを受け入れた理由をこう補足した。
「厳しい試合にはなる。何が何でも勝たなければいけない。厳しさの中にあるからこそ自分を出せる。勝って次のタイトルマッチにつなげたい。こういうところを逃げているようじゃ自分の人生を否定することになる。立ち向かって自分にも勝って相手にも勝って、みんなに自分の強さをみせしめたい」
天心らしい哲学だ。
天心は昨年11月24日に中谷潤人(M.T)が返上して空位となったWBCのベルトを、元WBA世界同級王者の井上拓真と王座決定戦として争ったが、0-3判定負けを喫した。
「今までの自分を否定されるのか」とも思ったがそうではなかった。
逆に日々新しい自分を発見できた。
「自分を探っていく」中で「なめんじゃねえ」と今まで出すことがなかった怒りの感情をむき出しにすることを覚えた。その相手は世間であり、自分であり、SNSでの匿名の相手でもある。
無関心だったこと、めんどくさいと思っていたことと向かい合い始め、何のために戦うかの根本的なモチベーションの問題に行きつく。
「みんなのためというより自分のためにしっかり格闘技をやる。自分を強く持ち、大事にしてみんなのパワーをいただく」
敗戦の72時間後に練習を再開したという。

