「大谷翔平が欠場したのは残念だった」”引退試合”チェコの”投げる電気技師”が110㎞魔球で侍Jを5回途中まで”ゼロ封”…東京ドーム総立ち拍手に「予想もしない信じられない体験」
前大会では大谷から三振を奪ったことで一躍有名人となった。ヌートバーや、近藤健介からも三振を奪った。昨年は大阪万博のチェコ館でサイン会を開き長打の列ができた。
「目標は10人の打者を抑えることだった。実際には自分の予想より少し長く投げることができた。大谷が出なかったのは少し残念だった。もう一度対戦したかったからね。でも結果的には、こういう形になって良かったのかもしれない」
すでに1位通過での準々決勝進出が決定していたことと、ドジャースから投手としての練習日を設けることを義務づけられていたことなどもあり大谷は欠場した。2大会連続で大谷から三振を奪うことができなかったが、サトリアは、67球6安打3奪三振無失点でマウンドを降りた。
もう限界だったという。
「正直に言うと、腕や背中が少し痛くなり始めていた。すべてを出し切った。日本の打者たちも僕の球を見ていたし、次の打順ではさらに対応してきただろう。もしもう少し長く投げていたら、もっと打たれていたと思う。だからちょうどいいタイミングで降板できたと思う」
サトリアの後を受けた投手陣も踏ん張り7回まで0-0と”大番狂わせ”を演じかけた。だが、8回に周東の3ラン、村上の満塁弾を浴びるなど、一挙9点を失い大敗した。
試合が終わるとチェコのメンバーも全員がベンチ前に整列しファンに頭を下げて感謝の意を示した。サトリアは、列を離れて日本ベンチへ向かい交流のある宮城らの元を訪れると再び東京ドームが拍手に包まれた。
サトリアは涙を堪えきれなかった。
「正直に言って、ああいう状況はあまり得意じゃない。できればチームメートの中に隠れて、注目が自分だけに集まらないようにしたかった。でも実際はそうならなかった。突然、自分が主役のようになってしまい、東京ドーム全体が拍手を送ってくれた。それは本当に最高の瞬間だった。球場の雰囲気は信じられないほど素晴らしかった。これ以上望むものはない。でもこういう状況は苦手で完全に自分のコンフォートゾーンの外だった」
ただ、今回の好投でも代表引退の決断が揺らぐことはなかった。
「引退というのは頂点で迎えるべきものだと思う。今回それを完璧に実現できたと思う。ヨーロッパ選手権の銅メダルや、3年前に成し遂げたことは、これからも大切な思い出になるだろう。今回の大会は結果だけ見れば満足とは言えないかもしれないけれど、それでも良い思い出として残る。恥ずかしい試合はしなかったし、この試合では少なくとも誇りを守ることができた」
そう胸を張った。
サトリアの好投は全米でも話題となった。
米USAトゥデイは、「チェコの電気技師サトリア――彼こそWBCを面白くする存在」との見出しを取りこう報じた。
「WBCの魅力の一つは普段では決して実現しない対戦が見られることだ。例えば、この大会がなければ、多くの野球ファンはサトリアという名前を知らなかっただろう。しかし国際舞台で活躍したことで今では世界中の人々がこのチェコ共和国出身の電気技師を知っている。満員の東京ドームの観客は彼にスタンディングオベーションを送った。こうした瞬間こそが、この大会をこれほどまでに魅力的なものにしているのである」と。

