「人生の岐路のリングになる」悲壮な覚悟の那須川天心は”レジェンド”エストラーダに勝てるのか…「前半プレスをかけ後半勝負なら勝機」…公開採点、ボディ攻撃、ポテンシャルの覚醒がカギ
――公開練習でエストラーダはさすがのスキルと手数を見せたが迫力はなかった。倒される心配はないと感じた。
「エストラーダが7回にボディで倒されたバムとの試合はおそらくベストに仕上げてあれならかなり力は落ちている。前半にプレッシャーをかけて削ることに成功して、後半勝負に持ち込めばギブアップ的なKO勝利もあるかも。明らかにボディが弱いのでそこをどう突くか。小國がボディで攻略したタパレス戦のようなパターンに持ち込みたい」
中谷氏はボディでの攻略の例として3日に小國以載(角海老宝石)が元WBA&IBF世界スーパーバンタム級王者のマーロン・タパレス(フィリピン)から大金星をあげた試合をあげた。
ーーエストラーダが2年前にジェシー“バム”ロドリゲス(米国)に最後に仕留められたのはボディショット。昨年6月のバンタム級での再起戦となるカリム・アルセ(メキシコ)戦でもボディを効かされ、後半はガス欠で格下相手にバタバタだった。ただ前半にどうやってエストラーダを削ればいいか。そこが難しいのでは?
「手数と動きのあるエストラーダに対し”カウンターを狙うぞ”のプレスをずっとかけ続けることだと思う。手数で上回らなくても緊張させるだけでスタミナは奪える。それには下がらない勇気が必要だが、コメントを見る限り、相当な覚悟があるようなので、できるのでは。カッコいいボクシングはいらない」
――天心はガードでパンチを受けるスタイルを禁じて、外してプレスをかける攻撃的なボクシングに変えたそうだ。囲み取材では「そのつもり(KOを狙う)でいかないと勝てない相手。そういうマインドで戦います」と話していた。
「エストラーダはサウスポーが苦手に見えるし、その天心のスタイルはプラスに働く。数か月で苦手だったインファイトを克服できたとは思えないが、持っている才能をリングで出すための準備はできているのかもしれない。相手が得意な中間距離でボクシングをさせないこと」
――今回は世界戦同様に公開採点が採用される。井上拓真戦では4回終了後に想定とは違うドローの採点が出て作戦が狂ったが?
「今回は公開採点が有利に運ぶと思う。スピードは天心が上。途中ポイントでリードしていればエストラーダが出てこざるをえなくなり、そうなると得意の足を使った出入りのアウトボクシングでポイントアウトを徹底できる。試合の展開を見ながらの陣営の指示も重要だが、今回セコンドを葛西さんに代えたことが”吉”と出るかも」
葛西氏も天心も試合中の戦略変更に自信を持っていた。
中谷氏の結論は天心の判定勝利もしくは後半KO勝利。
筆者の結論も「エストラーダが公開練習で見せた動きを12回続けることができれば天心に勝ち目はない。だが、序盤でペースを握らせず随所でボディを効かせ、後半に得意の出入りのボクシングのパターンに持ち込めば、願望も含めて判定で勝てる」という予想。
本田明彦会長は、井上拓真に敗れた後に「持っている力の半分も出せていない」という話をしていた。
チャンピオンメーカーが信じたその天心のポテンシャルの覚醒にかけてみたい。英大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」のオッズも天心勝利が2.00、エストラーダ勝利が1.80と肉薄している。
天心は囲み取材の最後にこうメッセージを残した。
「応援して欲しいとは別に言わないですけど、ずっと自分を見てきてくれる人、ボクシングを僕を見て初めて知った人、昔からボクシングを見てる人たちも、分かる人には分かる、刺さる人には刺さる。そういったとこにもぶつけていきたい。分かってもらえる人に分かってもらえばいいんで。一生懸命生きてる男の姿を見て欲しい」
Amazonプライムビデオが独占ライブ配信する運命のゴングは午後8時37分頃に予定されている。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

