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モンスターが4年ぶりに米ラスベガスに上陸(写真提供・大橋ジム)
モンスターが4年ぶりに米ラスベガスに上陸(写真提供・大橋ジム)

米上陸の井上尚弥が「弱い相手とばかり戦っている」の声にトップランク社長が「不当な批判だ」と大反論…「彼が逃げているなんてデタラメ。ロマチェンコのように誰からも引かない」

 プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)が23日、米ロサンゼルスに到着し、ウエストサイドボクシングクラブで、5月4日に米ラスベガスのT-モバイルアリーナで行われるWBA同級1位のラモン・カルデナス(29、米国)との防衛戦に向けての公開練習を行った。米国では一部のメディアやファンから「井上は弱い相手とばかりと戦っている」との厳しい声もあるが、共同プロモーターであるトップランク社の社長が米専門サイト「ボクシング・シーン」の取材に答え「それは不当な批判だ」と反論した。井上は、カルデナス戦をクリアすると、9月にWBA暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(30、ウズベキスタン)、12月にWBA世界フェザー級王者のニック・ボール(28、英国)、来年4月にWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27、M.T)との対戦計画が立てられている。

 「今回の試合に関しては自信しかない」

 4年ぶりに米再上陸を果たしたモンスターの注目度を示すように公開練習日に日米70人を超すメディアが集まった。井上は日米それぞれのメディアに約10分間ずつ取材に応じ、その後、リングの中央でバンテージを巻き、シャドー、ミット打ち、サンドバッグ打ちを1ラウンドずつ披露した。公開練習前にはカルデナスとも対面。フェイスオフで火花も散らした。
「今回の試合に関しては自信しかない」
 そう明言した井上は「綺麗な、まとまったボクシングをするイメージがある。自分にとってやりやすい選手。どう出てきても、対応できる準備をしている」と続けた。
「これだけ多くのメディアの方に来てもらえるのが嬉しい。期待も感じている。5月4日にみなさんの期待に応えられるような試合をしたい」とも語った。
 さらに井上はメキシコの記念日「シンコ・デ・マヨ」ウィークに行われることや来年4月に東京ドームでの対戦が計画されている中谷戦についても率直な気持ちを伝えた。
 だが一方で「楽勝」との戦前予想が飛び交う今回のカルデナスとのマッチメイクも含めて、一部の海外メディアやファンの間からは「井上は弱い相手とばかり戦っている」との厳しい意見もある。
 井上の共同プロモーターで今回の防衛戦を主催するトップランク社のトッド・デュボフ社長は、米専門サイト「ボクシング・シーン」の取材に応じて、それらの意見を真っ向から否定した。
「(カルデナス戦が3回連続で弱い相手との試合というレッテルを貼るのは)不当な批判だ。(最近の試合は)忘れて下さい。井上が2023年に王者のスティーブン・フルトンをTKOした試合を見たのか?」
 井上が、スーパーバンタム級に階級を上げた初戦で、いきなり倒した当時のWBC&WBO世界同級王者のスティーブン・フルトン(米国)は、現在WBC世界フェザー級王者に返り咲いているトップファイター。ただ昨年9月の元IBF世界同級王者のTJドヘニー(アイルランド)、IBF&WBOの指名挑戦者だったサム・グッドマン(豪州)の怪我により急遽代役に指名された今年1月のキム・イェジュン(韓国)は、確かに井上の相手として物足りなかった。
 だが、同社長は 「彼(井上)は、どんな相手でも、わざわざ『オレはやる。オレはやる』と言う。『自分がタイトルを持っているから標的になるのはしょうがない』と考えて(王座を)守り続けている男を見たことがない。ロマチェンコのように誰からも引かないんだ」と説明。
 井上を3階級制覇王者で、現IBF世界ライト級王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)に重ねた。
 同社長は、さらに「黄金の中量級」を演出した伝説の王者達の例を出した。
「それにハグラー、ハーンズ、レナード、デュランが立て続けにビッグマッチをしたわけじゃない。偉大な選手の基準は高すぎる。パウンド・フォー・パウンドの選手で、大きな魅力があれば、誰もが賞金首になるが、常にふさわしいファイターがいるわけではない。そうなると選択肢は2つ。座って待つか、アクティブに活動して『次のファイターに準備ができている』と言うか。ならば戦わないよりは戦ったほうがいい」
 元ミドル級の3団体統一王者のマービン・ハグラー、史上初の5階級制覇王者“ヒットマン”トーマス・ハーンズ、同じく5階級制覇王者のシュガー・レイ・レナード(いずれも米国)、元4階級制覇王者の“石の拳”ロベルト・デュラン(パナマ)らのレジェンド達は、名勝負を繰り広げたが、ビッグマッチばかりを続けたわけではない。

 

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