
「あそこでスクイズはない」巨人が阪神との4時間超えの雨中激闘を5-4で制するも阿部監督の采配に見えた「迷いと焦り」
巨人が21日、甲子園での阪神戦に5-4で勝利して連敗をストップ、貯金を1に戻した。4回に浅野翔吾(20)のタイムリーと本塁への“神”スライディングなどで4点を奪い、先発の井上温大(24)が6回を2失点、7回を中川皓太(31)と田中瑛斗(25)でしのぎ、8回を大勢(25)、9回をライデル・マルティネス(28)のリレーで1点差を逃げ切った。だが、4回にスクイズを仕掛けて失敗するなど、阿部慎之助監督(46)の采配に迷いと焦りが見え、評論家の中からは「勝ち方に強さを感じない」との厳しい意見まで出た。
4回に4得点のビッグイニングを作るも
4時間を超える甲子園での雨中の激戦を制した。対阪神3勝目。
スポーツ各紙の報道によると、試合後の阿部監督は、「全員が頑張った。さすがにタイガースも簡単には勝たせてくれないなと思いながらやっていた」と素直な感想を口にしたという。
だが、現役時代にタイトル獲得経験のある評論家の一人は「巨人の勝ち方に強さを感じない」と厳しい指摘をした。
「特に4回の攻撃にベンチの迷いと焦りが見えた」という。
4回。雨が強くなる最悪のコンディションの中で、突如、制球の乱れたビーズリーから先頭の中山が四球を選ぶと、甲斐はバントを試みて失敗して追い込まれた。だが、強攻に切り替わり、レフト前ヒットでつなぎ、グリップエンドにタイガースのマークの入ったバットを持った浅野がレフト線へ先制のタイムリー二塁打を放つ。 チームにとって実に28イニングぶりとなるタイムリーだった。
さらに無死二、三塁で、打席には投手の井上。ここでカウント2-0からの3球目に阿部監督はスクイズのサインを出した。だが、井上の差し出したバットは、2番手、冨田の少し動いた外角のストレートに空を切り、スタートを切っていた三塁走者はアウトになった。
「1番に抜擢された増田陸は、第1打席のレフトヒット、第2打席のレフトライナーとタイミングが取れていた。調子のいいバッターに廻ってくるだけだから、ここでのスクイズはない。動く必要はなかった。前日の才木の打席と同じで、そもそも三振でもよかった」
前出の評論家は、このスクイズの仕掛けを疑問視した。
結局、井上に強攻させてショートゴロ。打球は木浪の正面だったが、三塁走者の浅野が“神”ヘッドスライディングでホームに滑り込んだ。判定はアウトだったが、阿部監督のリクエストで覆った。さらに増田陸がレフト前ヒットでつなぎ、門脇のショートを襲う強烈なゴロに、木浪のグラブがついていくことができずに満塁となった。ここで吉川がライト前へ引っ張り3点目。さらにキャベッジの二ゴロが併殺崩れとなる間に4点目をスコアボールに刻んだ。まだ二死一、三塁とチャンスは続き、今度は、一塁走者のキャベッジが「フォースボーク」を仕掛けるも、阪神の内野の連携でホームを狙った門脇がアウトになった。
前出の評論家は、「おそらくフォースボークを仕掛けたのだろうが、これもヘルナンデスの打撃に期待できないがゆえのベンチの焦りでしょう。確か阿部監督は、シーズンを前に『5回までは選手に考えさせ私は動かない』というスタイルを宣言していたはずです。岡本が怪我で長期離脱することになって、その方針を変えざるを得なくなったのかもしれませんが、あまりにも動きすぎです」と指摘した。