
名門帝拳の“型破りな”高見亨介が7.30横浜でWBA世界挑戦…「井上尚弥選手は超えられないので面白い勝ち方をするなと思ってもらえれば」「6ラウンドに仕留めたい」と豪語
プロボクシングのWBA世界ライトフライ級王者のエリック・ロサ(25、ドミニカ共和国)に7月30日、横浜BUNTAIでプロ10戦目で初挑戦する高見亨介(23、帝拳)が新宿区の同ジムで公開練習を行った。高見は「6ラウンドで仕留める」と豪語。勝てばWBO世界ウエルター級王者のブライアン・ノーマン(24、米国)を抜いて全階級を通じて最年少の世界王者となるため「ノーマンに記録でも勝ちたい」との意欲を燃やした。
サウスポーに対して右周り
現在世界王者不在の名門帝拳が送り出す秘密兵器は型破りだ。
高見が9月16日に名古屋でWBA世界ミニマム級王座決定戦に挑む同門のサウスポー、松本流星(帝拳)を相手に2ラウンドの公開スパー。サウスポーに対しては、左周り、前足の左足は相手の右足の外に置くことが、基本的にはセオリーとされるが、高見は右に周り、しかも左足は内側にあった。
「僕は右周りがやりやすい。みんなにこっち(左)へ周れと言われるが、かたくなに周らない(笑)。右も当たりやすいし、パンチを外しやすい」
その言葉通りノーモーションの右を糸口にカウンターのボディブローなど多彩な右のパンチが松本を襲う。踏み込む際にはきっちりと左足は相手の前足の外にあった。近年、サウスポーに対しても右周りが推奨されるようにもなっているが、自然と高見はそれを実戦していた。そして2ラウンドにはロープを背負わせてショートブローのラッシュ。「手数とパワーで潰しにいく展開も想定している」という世界獲りのボクシングを強烈にデモンストレーションしてみせた。
スパーを終えると新トレーナーのオージー・サンチェス氏、田中繊大トレーナーとのミット打ち。疲労がピークの時期に溌剌とした動きを見せ、「やりきりました!」と大声で公開練習の終了を告げた。
「もっと見て欲しい、見せたいという気持ちになっちゃう。むしろ(多くの報道陣が見ていると)モチベーション上がる」
公開練習を見守っていたサンチェストレーナーは、アマチュア時代に元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)に勝ち、メイウェザーがプロでは無敗で引退したため「フロイドに最後に勝った男」として知られる。世界王座には手が届かなかったがナジーム・ハメド(英国)から幻のダウンを奪ったと話題にもなり、引退後は、米国のナショナルチームのコーチに選ばれ、ユース世代などを指導している。
高見は、「オージーは毎日違うトレーニングを用意してくれる。現役時代の話はまだ1回もしたことがないが、僕がジョークを言って笑ってくれない(笑)。僕のおちゃらけた感じをオーギーの雰囲気が正してくれてそれもプラス」と信頼を置いている。世界獲りへ最強の布陣だ。
「一発で獲って一番下っ端の自分が勢いづけたい」
帝拳には世界挑戦を待つ王者予備軍が多数控えているが、高見は日本タイトルをパスポートに無敗のまま10戦目での世界初挑戦。9月の松本は7戦目だが、育成に関しては、慎重な帝拳が、こんなに早くGOサインを出すのは珍しい。
本田明彦会長は、それほどこの逸材に惚れ込んでいる。しかも「天心よりも一番生意気」と総師が言うほどの奔放な性格。
「長いラウンドにいったとしても、しっかり仕留めきれる。最後は、倒して終わる展開をイメージしている。KOラウンド?早ければ早いほどありがたい。伊藤(雅雪=元WBO世界スーパーフェザー級王者)さんが(Youtubeの対談で)おっしゃっていた6、7、8…6ラウンドくらいで仕留めたい」
いきなり具体的なラウンド数まで出して豪語した。
「まだ23歳。いけいけの若手。若々しさ、生き生きした戦い、そこまでいくんだな、元気だなこいつ」という試合をファンにアピールしたいという。