• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • 5.6東京ドームで井上尚弥vs“悪童”ネリ決定の米報道も正式発表できない裏事情とは…無期限活動停止問題と史上最大規模大会
5月6日東京ドームで井上vsネリ
5月6日東京ドームで井上vsネリ

5.6東京ドームで井上尚弥vs“悪童”ネリ決定の米報道も正式発表できない裏事情とは…無期限活動停止問題と史上最大規模大会

 プロボクシングの2階級4団体制覇を果たした井上尚弥(30、大橋)が5月6日、東京ドームで元2階級制覇王者の“悪童”ルイス・ネリ(29、メキシコ)とスーパーバンタム級の4つのベルトをかけて防衛戦を行うことが25日、明らかになった。ESPNなど米の複数メディアが報じたもの。だが、正式発表には、まだ少し時間がかかりそう。その裏事情とは?

 まだ無期限活動停止処分の解除を求める申し立てはない

 ESPNなど米の複数メディアが、5月6日に東京ドームでモンスターが“悪童”ネリと対戦することを報じた。そもそもの事の発端は、今月18日に総合格闘イベント「RIZIN.47」の日程が、5月6日から4月29日に変更となることを発表した会見で、榊原信行CEOが「5月6日にとんでもない大きなことが起きるということを巷で聞いている」と説明。井上の試合が5月6日に東京ドームで開催されるのでは?という噂が、またたくまに駆け巡った。不謹慎なフライング発言にボクシング関係者は怒り心頭だったが、正式発表を待たずして、今回ESPNが断定的に報じた。井上が契約を結んでいるトップランク社と放映契約をしているESPNは、この井上―ネリ戦の全米への中継を行う局でもあり、情報の信ぴょう性は高い。
 ネリ戦に関しては「あんな反則ボクサーにチャンスをやる必要はない」との反対意見もあるが、「我らが井上に山中の敵討ちとしてコテンパンにやっつけて欲しい」との待望論がそれ以上にあって、東京ドームが55000人を超える超満員のファンで膨れ上がるのは間違いないだろう。両者が、この日付で基本合意に至っているのは事実だが、正式発表までには、まだ少し時間がかかるという。
 なぜか?
 ネリは、2017年8月に当時のWBC世界バンタム級王者の山中慎介(帝拳)に挑戦し、4回TKO勝利でベルトを奪った。だが、ドーピング疑惑騒動を起こした。禁止薬物のジルパテロール成分の陽性反応が出たものだが、その成分が含まれた大量の牛肉を摂取したのが理由だというわけのわからない説明をWBCが認めてリマッチが指令された。両者は2018年3月に再び拳を交えることになったが、今度は5ポンド(2.25キロ)もの体重超過で計量をパスできずに失格、王座剥奪となった。当日の体重に制限を設けることで試合は実施されたが、山中が2回TKO負けを喫した。だが、JBCは事態を重くみて、ネリに無期限の活動停止処分を下した。事実上の日本リングからの永久追放である。
 今回の井上―ネリ戦は、WBCの指名試合でもあることから、JBCは処分解除の申し入れが、WBC、或いはネリ陣営からなされれば前向きに検討する方向でいるが、まだどこからも申請が出ていない。主催者の大橋ジムサイドとしては、現時点でルール上、日本で試合のできないネリとの世界戦を発表するわけにはいかず、処分解除という筋を通してからの正式発表となる。
 また井上家は、ネリの挑戦を受ける条件として「厳格なドーピング検査の実施と事前の定期的な体重チェック」を要望している。井上は、毎回、VADAの抜き打ちドーピング検査を受けているが、ネリにも同様の検査を義務づけ、確信犯的な体重超過をさせないために試合前の定期的な体重チェックを求めている。
 WBCは、試合の30日前、14日前、7日前と3度の事前の体重チェックを義務づけているが、その正確な実施の確認が条件となり、それらの細かい約束事をまとめるのにも時間がかかるのかもしれない。

 

関連記事一覧